メタンハイドレートで資源大国への道

2013年03月16日 11時00分

 左うちわどころの話でなくなってきた。経済産業省資源エネルギー庁が13日、愛知・三重沖合の海中から次世代エネルギーと目されるメタンハイドレートを分解し、メタンガスの採取に成功した。海洋上では初の快挙で、今後の実用化に大きく前進した。それどころか日本の周辺海域はメタンハイドレートの宝庫で、「100年分はおろか無尽蔵」との見方が出ている。これで日本が、中東以上の資源大国へ大化けする可能性が出てきた。

 メタンハイドレートはメタンガスを水分子が包み込んで、固形化したもの。“燃える氷”といわれ、火力発電所で使用した場合は、排出する二酸化炭素量も石炭や液化天然ガスに比べて少ないクリーンエネルギーだ。

 プレートの境界線で生成しやすい性質から地震多発国の海底に埋蔵される傾向が高く、日本は世界有数の“メタンハイドレート大国”とみられている。

 ただ、これまではガスを取り出す方法が確立されておらず、宝の持ち腐れとなっていた。だが今回、独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)」が、深部探査船「ちきゅう」を使った試験でガスの生産に成功。5年後の商業化を目指すという。

 経産省は日本近海には、国内で年間消費する天然ガスの100年分が埋蔵していると試算。これだけでも驚くべき数字だが、“過小評価”と見ているのは、長らくメタンハイドレートの調査・研究に取り組んできた独立総合研究所の青山繁晴代表だ。

 経産省の試算は、主に太平洋のメタンハイドレートの埋蔵量で日本海側は含まれていない。

「日本海側のメタンハイドレートは表層型といい、海底に塊となって露出している。太平洋側は取ったら終わりだが、表層型は海底からメタンハイドレートの柱が立っていて、粒々が毎日、作り出され、溶け出している。いわば地球の活動が続く限り、生成され、100年分どころか埋蔵資源の常識を覆す量になる」(青山氏)

 太陽光のような事実上の“無限エネルギー”になる可能性を秘めているという。すでにメタンハイドレートが噴き出す柱を魚群探知機で検知できる技術も開発済みで、実用化自体も日本海側の方が実はたやすいのだ。

 天然ガスに取って代わる可能性があるメタンハイドレートの実用化は、自給自足どころか海外への輸出も可能となり、資源大国へと変貌することができる。1000兆円を超える借金や年金問題、少子化、エネルギーの輸入依存と山積する問題も一気に解決。アベノミクスもチンケな話に見えてくる。

 夢のエネルギーだが、実現化にハードルがあるのも事実。産業構造が根本的に変革するために、既得権益となっている旧来の石油や天然ガスのエネルギー勢力の抵抗がすでに始まっており、日本海側の調査・開発は遅れている。

 またメタンハイドレートの採掘は、巨大地震を誘発するとの科学的根拠のない批判にもさらされている。

 一方、北方領土や竹島、尖閣諸島周辺でもメタンハイドレートが埋蔵されているとみられ、領土問題はロシアや韓国、中国との利権争いが背景にひそんでいる。

 青山氏は「米と中東が結託して、石油でボロ儲けしたのと同じことを日本がやってはいけない。フィリピンやモンゴルなどの資源のない国に安価で提供し、資源のあり方を根本から変えれば、国際的地位も高まり、領土問題もなくなる。安倍政権はメタンハイドレートの活用を公約に明記している。既得権益に乗っかっている自民党の内部改革を実行できるかどうかにかかっている」と指摘する。

 じり貧の一途をたどる日本にとってはメタンハイドレートが最後の希望の星だ。