東京五輪サマータイム導入断念にホッ 経済活動より優先された過重労働問題

2018年11月22日 17時00分

 自民党は21日、2020年夏に開催する東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として国全体の時間を夏だけ早めるサマータイムの導入を断念すると正式表明した。

 サマータイムは、マラソンや競歩など屋外競技の選手の体調に配慮する暑さ対策として浮上。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が7月、安倍晋三首相に検討を要請していた。

 導入可否を検討する研究会は、中止の理由について「五輪に間に合わせるために必要な今国会への関連法案提出が間に合わない」と説明した。

 自民党議員は「来年、再来年の2年間限定で議論が進められた。今後は日本の現状を踏まえた暑さ対策に取り組んでいきます」と話した。

 サマータイムは夏を中心とする時期に標準時間を1時間ほど進める制度。第1次世界大戦中の欧米諸国で導入され始め、現在では世界70か国以上の中高緯度諸国で導入されている。

 日本では1948年に導入されたが、国民から「過重労働になる」という意見が全国的に広がり、4年後の52年4月に廃止になった。

 今回、導入可否が議論された背景には、サマータイムを導入すれば、省エネや温室効果ガスの排出削減などのメリットが指摘されていた。

「日照時間が増えれば経済活動がプラスに働き、商業や観光、行楽やスポーツ、趣味やレジャー、飲食業界などの産業が活性化し、経済規模の拡大が見込まれる」(環境省関係者)

 だが、野党議員は「サマータイムを導入すれば、システム改修を行うITエンジニアの過重労働による過労死が起きていたはずです。鉄道各社やバス会社などの公共交通機関も始発を早めることでコストがかかるなど、混乱が生じていた」と語った。

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