医師免許を持たずに客にタトゥー(入れ墨)を施したとして医師法違反の罪に問われた大阪府吹田市の彫師、増田太輝被告(30)の控訴審判決で、大阪高裁は14日、罰金15万円とした一審大阪地裁判決を破棄、逆転無罪を言い渡した。

 判決理由で西田真基裁判長は、タトゥーは歴史や現代社会における位置付けに照らすと装飾的、象徴的な要素や美術的な意義があり「医療目的の行為ではない」と指摘。施術に求められるのは美的センスやデザインの素養で、医学的技能を基本とする医療業務とは根本的に異なり「医師に施術を独占的に行わせるのは相当ではない」とし、医療と関連がない行為は医師法の規制対象外と判断した。

 公判で弁護側は、彫師に医師免許を求めるのは職業選択や表現の自由を侵害し違憲だと主張。この点について判決は「タトゥー施術に医師法を適用すると職業選択の自由との関係で疑義が生じる」と言及したものの、憲法違反かどうかの判断は示さなかった。

 昨年9月の一審判決は、医療行為に当たると認め「皮膚障害やアレルギー反応など、医師でなければ保健衛生上の危害が生じる恐れがある」とし、有罪としていた。

 主任弁護人の亀石倫子弁護士は「日本社会のネガティブなまなざしから彫師という職業やタトゥーを守る闘いだった」と振り返った。敏腕で美人弁護士として名高い亀石氏は来夏に行われる参院選大阪選挙区(改選数4)で、立憲民主党の公認候補として擁立が決まっている。

 永田町関係者は「亀石氏はテレビでコメンテーターとして活躍していたところ、異例の早期出馬発表で、メディアへの露出は極度に減りました。でも、今回の逆転無罪判決の弁護人ということで、注目も集まり、支持者固めにも効果的でしょう。立民は亀石氏を党の新しい顔に据えようとしています。不倫疑惑からの離婚でイメージダウンした山尾志桜里氏よりもフレッシュですから」と指摘している。