9月の自民党総裁選出馬が取り沙汰される野田聖子総務相(57)が6日、都内で行われた内外情勢調査会で講演した。

 この日の注目点は2つ。1つは正式に総裁選への出馬宣言が飛び出すか否か。もう1つは、週刊誌で報じられた仮想通貨をめぐる自身の金融庁への圧力疑惑に言及するかどうかだった。

 前者については「推薦人が20人にならないと出馬できない。出馬できるようになったら、そういうことになる」とコメント。一部では党内で支持する議員が2人しかいないと報じられたが、野田氏は「推薦人が2人だったらこんなに頑張らない」と否定した上で、出馬意欲を示した。

 ただ、永田町関係者によれば「実際は出馬宣言したくても、できないのが本音。やはり推薦人集めに苦戦しているようだ」という。

 もう1つの金融庁への圧力疑惑は完全スルー。会場には多くのマスコミが集まったが、記者は別室での“テレビ観戦”で、質疑応答は代表質問だった。

 この問題は野田氏の秘書が無登録で仮想通貨交換業務を行った会社の幹部を同席させ、金融庁に説明を求めたもの。その過程では野田氏の夫で、元暴力団員と言われる文信氏の関与も疑われている。

 これに文信氏は自身を“黒幕”扱いした週刊文春と週刊新潮の発行元を名誉毀損で東京地裁に提訴。野田氏の事務所は「文信氏が元暴力団員で、総務相に働き掛けて金融庁に圧力をかけたという記事は、原告の名誉を著しく毀損するもので、真実と異なる」と主張している。

 夫の名誉回復のために率先して訴訟提起の事実をアナウンスしているが、別の狙いもうかがえる。

「野田氏自身がその件について突っ込まれても『夫が係争中であるため、発言は控えさせていただく』と、かわすことができるようになった。時間切れを狙っているのでは?」(同)

 一方、7日の朝日新聞は、野田氏がこの問題に関連した情報公開請求の漏出の件で、閣僚給与を返納する意向を固めたと報じた。