政府は先月末にカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案を閣議決定し、国会に提出した。全国3か所を上限に整備し、入場料6000円を徴収するなど中身は整ったが、カジノはいつ国内で解禁となるのか?

 誘致に乗り出している大阪や北海道、和歌山など各自治体は、次々と基本構想や招致の試算を明らかにした。カジノ解禁へ準備が進む中、10日に都内で行われたIR事業者のシンポジウム「ジャパン・ゲーミング・コングレス」に出席した推進派の国会議員らが、具体的な開業時期について論議を交わした。

 実施法案成立後、施行を経て、政府が基本方針を策定。その後、自治体による実施方針策定・IR事業者の公募・選定、政府による区域整備の認定、施設建設と手順を踏まねばならない。西村康稔官房副長官は「段取りがうまく運んで、20年代の前半に開業すればいい」と話したが、柿沢未途衆院議員は「(現状では)開場は最短で29年になる。どこまで前倒しできるかが大きなポイントになる」と問題提起した。

 公明党のIR実施法検討プロジェクトチーム(PT)で座長を務めた遠山清彦衆院議員は「法案が成立してから、最短で2年半から3年後に区域認定する。そこから施設整備が始まり、スピードいかんだが29年より早く第1陣は来る」と説明。

 自民党のIRPT事務局長だった阿達雅志参院議員は、開業時期を明言していない理由を「通常でいくと、早くて26年になる。いろんな努力をすることで早められる可能性があるので、あえてハッキリ書かない。地域の取り組みをどんどん進めてもらう」と、機運が高まるのを期待する。

 いずれも肝心の実施法案が今国会で成立する前提での話。国会空転の余波で、審議は5月下旬以降となり、6月20日の会期末までの成立には、暗雲が垂れ込めてきた。

 25年に招致を目指す大阪万博に合わせての開業が当面の目標だが、しくじれば、同じく招致に動きそうな30年札幌五輪へとずれ込みかねない。この20年、お預けを食らっている自治体や事業者はこの先も首を長くして国会審議を待つしかない。