製麺機メーカーなぜ「麺学校」運営

2012年08月10日 12時00分

 日本が世界に誇る麺食文化。それに一石を投じた企業がある。香川に本社がある大和製作所だ。製麺機の国内トップシェアを誇る一方で、13年前から「大和麺学校」を開校し、人材育成にも力を入れている。同社の藤井薫代表に話を聞いた。

――製麺機メーカーがなぜ麺学校を開校

 藤井代表:全国にうどん・そば店が約4万店、ラーメン店も約4万店あると言われる中で、毎年うどん・そば店が3500店、ラーメン店4000店が新規開業し、同じ数だけ廃業している。閉店に追い込まれた店主の多くは多額の借金を背負い、人生設計が狂ってしまいますよね。そうすると麺食店は経営リスクが高いと思われて新規参入者が減り、ひいては製麺機メーカーである弊社の利益を損なう結果につながる。だから、私は麺食店を開業する人の失敗を少しでも減らしたいんです。

――大和麺学校ではどんなカリキュラムを

 藤井代表:3つのコースがあり、うどん(受講料15万4470円)と、そば(同15万4620円)は6日間、ラーメン(同38万6470円)は7日間です。経営に対する正しい考え方を身につけてもらうため、2日間の経営講義を行い、残りの日数で受講者が求める味の作り方について教えます。経営講義で経営者の資質がないと思った受講者には、開業を諦めるように説得もします。

――味が売り上げを左右すると思われがちだが

 藤井代表:それは麺食店を開業しようとする人の多くが陥る大きな罠です。開業した麺食店の多くは平均10年強で廃業に追い込まれる。味がよければ最初は繁盛するかもしれませんが、長期的に見て正しい経営能力がなければ、徐々に衰退していくのは明らか。また、この業界を目指す人の多くは開業するまで勉強しても、開業したら勉強をやめてしまう。その道のプロであり続けるには常に勉強が必要で、これができない人は成功しませんよ。

――卒業生の数は

 藤井代表:約3000人です。そのうち開業にこぎつけたのが約30%。卒業生の中には、今年発行された「ミシュランガイド北海道2012特別版」にラーメン店で1人、うどん店2人が掲載されました。うどん店の2人は全くの素人でした。ほかにはアイバンラーメン店主のアイバン・オーキンさんも卒業生です。

――ところで製麺機メーカーとしても国内トップシェアを誇っている

 藤井代表:1980年から製麺機製造を始めて、7年前にようやくトップシェアを取ることができたが、その決め手になったのは年中無休のメンテナンスサービスです。

――といいますと

 藤井代表:製麺機は1台200万~350万円ほどもする高価な機械(写真②)ですから、顧客は無名の製麺機メーカーから買うのは怖い。だったら他社がやっていないサービスを行って、顧客の信頼を勝ち取ろうと思ったわけです。当時、年末年始や土日祝日のメンテナンスサービスを行っている製麺機メーカーはなかった。いまだに追随する大手メーカーがないことを考えると、大成功だったなと思っています。

――今後は

 藤井代表:北米と欧州、そして東南アジアへの進出を計画中です。日本の麺食文化は世界中で注目されている。海外市場に人材育成のソフトの部分と製麺機のハードの部分をパッケージで売り込むことで、すし文化のように日本の麺食文化を正しく伝えていければと思っています。