東京株式市場の日経平均株価は15日、終値で前週末比564円08銭高の3万84円15銭となり、バブル経済期だった1990年8月2日以来、約30年半ぶりに終値で3万円の大台を突破した。

 先週、日経平均株価は一気に1200円も急上昇。3万円の歴史的大台を間近にして、投資家たちがざわめき立っていた。ある投資アナリストはこう話す。

「先週は米国の追加経済対策への期待と企業の業績改善が引っ張る形で株価が上昇。さらに国内でも新型コロナワクチンの接種が始まるとあって、国内経済回復の期待もプラスに働いた。そこへきて、日本の昨年10~12月期の実質国内総生産(GDP)速報値が大幅なプラス成長だったことも追い風となった」

 とはいえ、先週は東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言により会長を辞任する問題が発生。株価にはマイナスになりそうな話題だったが、前出アナリストは「そもそも市場関係者は東京五輪が通常の状態で開催されるとは誰も思っていないし、すでに織り込み済み。それだけに株価には全く影響がなかった」とピシャリだ。

 あまり明るい話題がない中でも上昇し続ける日経平均株価。好景気を実感できていない国民からは、現在の株価は実体経済とかけ離れすぎているとの声も上がっている。

「実体経済とかけ離れているというが、そもそも今は今後2年は続くかと言われる新型コロナ禍の有事。現在の株高要因は各国が金融緩和と財政出動を行い、市中に大量に出回ったカネが投資先として株式市場に流れることで株高を支えている」(同アナリスト)

 市中に大量に出回ったカネの一部は暗号資産(仮想通貨)のビットコイン市場にも流入し、こちらは史上最高値を更新する盛況ぶりだ。

 今後も日経平均株価は中長期的に上昇基調を維持するとの見方は強い。一部ではバブル経済期の史上最高値3万8915円にどこまで迫るかとの声も上がっているが、近年、ダウ平均が史上最高値を連発し続けていることからも、夢物語ではないのかもしれない。