外食産業が新型コロナウイルス禍で危機的状況のなか、新たな動きが出始めた。外食大手のゼンショーホールディングスは3日、感染拡大を鑑み、傘下の回転ずし店「はま寿司」全店で、回転レーンから客が自由にすしを選ぶ提供方法をやめたと発表した。タッチパネルで注文を受けた商品のみレーンに流す。担当者は「お客様の不安を払拭するため」としている。

 感染拡大の影響は、ほかの外食産業にも波及している。

 大手牛丼チェーンの「すき家」では、小中高校の臨時休校により従業員の確保が難しくなるとして、一部店舗で牛丼のみの販売や、営業時間の短縮、または休業の対応を取ると発表。「吉野家」でも一部商品の販売を休止するとした。

 先月24日の政府専門家会議で「これから1~2週間が急速な拡大か終息かの瀬戸際だ」との見解が発表されて以降、混乱は加速している。

 飲食店関係者は「郊外店はまだマシだけど、都心部は全然お客さんが来ない。お客さんからも『大丈夫?』なんて声をかけてもらうんですが、正直、このまま続けばもたない」と嘆く。

 こうした中、経済産業省は3日、経営が悪化している旅館や飲食店、遊園地やフィットネスクラブなど40業種について、金融機関からの融資限度額が2倍になる「セーフティネット保証制度」の対象となる条件を緩和すると発表した。適用は6日からとなる。

 民間でも新たな支援の動きが出ている。大阪市のNPO法人「みらくる」は、臨時休校で給食が食べられなくなった子供に食料を送ると同時に、売り上げ減少に悩む飲食店を応援する「食・応援プロジェクト」を開始した。趣旨に賛同した東京都の居酒屋「おさかな本舗たいこ茶屋」から、生ラーメンと真空パックの炒め野菜を購入し、必要な家庭に配送する。

 調達費用や配送代は寄付で全額賄う計画で、10食分ずつ100世帯に送ることを目指す。

 影響が長引けば長引くほど、しわ寄せは弱者に向かう。一刻も早い終息を願うばかりだ。