ヤクルト宮本も愛用「謎の天才時計師、フランク三浦」

2013年07月17日 15時00分

フランク三浦の「ヤクルト宮本2000安打記念時計」(特注)

 最近、“フランクミウラ”という時計が人気になっているのをご存じだろうか。え? 高級時計のフランクミュラーの間違いじゃないかって? 違います。文字盤に堂々と「フランク三浦」のロゴが入った「完全オリジナル」。偽物やコピー商品ではありません。超有名プロ野球選手や芸能人もハマっているこの時計の誕生秘話とは? 製造・販売する大阪・天王寺区のディンクス・下部良貴社長に聞いた。

 フランク三浦の時計はなにしろウケる。キャバクラなどで「これ、フランクミウラだよ」と見せて笑いを取れなかったことはない(実話)。その際、ミウラの発音をうまくごまかすのが肝だ。芸能界でもウケ、歌舞伎界、さらに宝塚歌劇団にも愛好者が続出。そんな有名人愛好家の代表格がプロ野球東京ヤクルトスワローズの宮本慎也内野手。宮本が2000安打を達成した際、チーム内で配ったのがフランク三浦の特注記念時計だった。テレビ番組で取り上げられたから聞いたことがある人も多いだろう。

 フランク三浦を手がけているディンクスの下部良貴社長はPL学園野球部出身。実は宮本と同級生だ。2001年設立の同社は、セレクトショップの時計をOEM生産するほか、「B Barrel」ブランドでマニア向けオリジナル機械式時計を製造販売しており、高級時計オーナーや時計マニアの間で高い評価を得てきた。時計マニアの宮本も以前から同社の時計を多数購入していた。

 オリジナル時計のメーカーとして、真面目に手堅い商品を作っていたディンクスが、なぜこんな“正反対”の商品を作ることになったのか。きっかけはリーマンショック(08年)以降の不況だという。

「時計業界も急激に景気が悪くなりましてね。高級時計が売れなくなり、うちのような5万~20万円の時計も数が出なくなった。そもそもB Barrelの時計は、開発するのに2~3年かけ、パーツにもけっこうな手間とコストをかけ、薄利で売ってたんです。他の社長さんと話したら、1000~3000円の時計も全然売れない上に、ダンピングが始まって500円で卸したものが798円で売られていると。これは何か特別な付加価値を付けないとダメだ。大阪だから笑えるものや、と考えました」

 そこに“現れた”のが「謎の天才時計師、フランク三浦」だった。「10年夏に1000本、売値で300万~400万円分作ったんです。感性が合うお客様がいるだろう。売れなきゃ配ればええわ、ぐらいの気持ちで」。これが大ウケしたのだ。

「数百万円の時計を買う人たちにすごく響いた。そういうお店で月に400本売れる。宮本に送る時計に交ぜたら、大爆笑して『頼む、もっと送ってくれ』と。ネットニュースで取り上げられた時は1日で400本が売れた。宣伝費1円もかけてないのに。僕、キョトンですよ。これまで必死に考え、売れる売れない、為替がどうって考えてたのなんやったんやって」

 この春には文字盤にサイコロやルーレットが入った「マカオ」(5980円)を発売。すでに4000本以上売れた。また、最近予約を受け付けたスワローズ公認「つば九郎コラボ手羽時計」(4980円)はあっという間に700本が売り切れ、増産が決定した。「週に1~2件は新規で扱いたいという問い合わせが来ます。雑談から生まれ、息抜きで作って、いつでもやめるつもりだったんですが」。現在、大手量販店で販売する話も進んでいるという。

「時計+笑い」という全く新しいマーケットを切り開いたフランク三浦。ネタ切れしなければまだまだ快進撃は続きそうだ。