就活生の多くが利用する就職情報サイト「リクナビ」が大混乱に陥っている。 

 同サイトを運営するリクルートキャリアは就活生の「内定辞退率予測」を企業に販売するサービスを廃止すると5日に発表。個人情報保護法に違反する恐れがあるためだ。

 社内調査によると「データの外部提供の同意がない学生は7983人だった」というが、一方で「予測データを企業に渡した学生の合計数」は明らかにしなかった。

「7983人は氷山の一角。リクナビ利用者は80万人にのぼり、知らないうちに個人情報を企業に売られた利用者は、これから雪だるま式に増えていくだろう」と関係者は話している。リクナビはメーカーなど38社にデータを販売していたという。

 国民民主党の大塚耕平参院議員はツイッターで、厚労省に問い合わせたことを明かした上で「同社に対する職業紹介業の許可を取り消すべきと通告。同法(職業安定法)31条の許可基準に反する行為です」と断罪。

 リクナビはプライベートポリシーで、利用者の行動履歴を分析・集計し、外部企業に情報提供する旨を通達していたと主張しているが、そもそも同意しなければ学生はリクナビを利用できない仕組みだった。

 共産党の吉良よし子参院議員は、ツイッターで「形式的な『同意』と言ってもリクナビのプライバシーポリシーを読んで、自分の『内定辞退予測』が企業に提供されるなんて想定できないのでは? 形式的な『同意』があれば問題なしとは、到底言えません」と、追及の構えをみせている。

 企業側からも幻滅の声が上がっている。通信機器会社の人事担当者は「リクナビに乗せられて学生が数十社、数百社とエントリーするものだから、毎年内定辞退者が続出している。そうしておいて、企業にその内定辞退予想を買えと? ボロい商売をしているからこうなる」と憤る。リクナビ問題は今後も過熱しそうだ。