「結婚式キャンセル保険」が生まれたきっかけ

2019年06月11日 07時00分

画期的な結婚式キャンセル保険

 ジューンブライドの6月も半ばにさしかかった。今年は令和元年で結婚式を挙げるタイミングを考えている男女もいることだろうが、最近の新郎新婦の加入が増えている「結婚式キャンセル保険」をご存じだろうか。不測の事態に備えて入る保険が生まれたのは「東日本大震災」がきっかけだった。

 結婚式のキャンセル料を保障する保険はいくつかあるが、式場側が加入する「結婚式キャンセル保険」(ジャパン少額短期保険)が先月27日に発売された。高額なキャンセル料が最大で無料になるもの。「新郎新婦・父母・兄弟姉妹・子の死亡」「当日に新郎新婦が入院」など不測の事態に適用される。

 日本で初めての結婚式キャンセル保険は、新郎新婦向けに「あそしあ少額短期保険」が2014年に発売した「結婚式総合保険」だ。代理店で、国際ウエディングプランナー協会代表の谷藤進さんは「500万円の式を1週間前にキャンセルした場合、ほぼ500万円が取られる。お金がない時代に、それが続けば誰も結婚式をやらなくなる。保障することで、結婚を喚起する一助になる」と意義を説明する。

 たとえば、ノロウイルスやインフルエンザにかかった新郎新婦が「ご祝儀をもらわずキャンセル料だけ払う」事態を回避するために式を強行。結果、列席者が感染した事態になったことも。そんな不幸な結婚式を避けることができる。

 谷藤さんによれば、最近は授かり婚が多く、晩婚化によって両親の年齢も高齢に。保険に入っていれば「余命宣告を受けた父親に花嫁姿を見せたい。しかし、当日に亡くなってしまったら…」「高齢出産だし、切迫流産や早産になったら…」などのケースで二の足を踏むこともない。キャンセル料を支払ったことで、式を挙げずに写真だけという夫婦も多い。保険に入っていれば、同一規模の式を挙げられる。

「あそしあ」の小市大輔さんによれば、保険が生まれた直接のきっかけは東日本大震災だった。「あの日は金曜で、土日の結婚式のキャンセル・延期が続出した。こんな事態を助けられる保険があるか調べたがなかった」。

 その出発点があるから、台風、自然災害などによって新郎新婦の家に半壊以上(または100万円以上)の損失が出ても保険が適用される。契約数は初年度こそ100組程度だったが、今では約4年で累計4万組。加入者は右肩上がりだ。保障額の違いで掛け金は1万・3万・5万円。「いずれは海外旅行で入る保険のように、なかば当たり前のように加入してもらえる保険を目指す」(谷藤さん)

 なお、保障適用の理由に「破談」は含まれない。挙式直前に新郎の浮気が発覚したとか、両家の親同士の仲がこじれて破談したとかでも「個人の勝手な自己都合」とされる。仮にこれを許してしまうと「キャンセルしても保険が下りるから、結婚式の予約をしたけど浮気しちゃえ」という不届き者が現れたり、最悪の場合は保険金詐欺が起きたりする。

「あくまで機会損失した会場の補償を補填するための保険。この商品を金融庁に申請するときに融通が利かないか少し検討もしたが、やはり実現しなかった。需要はかなりあるが、未来永劫実現しないだろう」(谷藤さん)

 悪徳商法まがいの結婚式で消費者センターに駆け込む新郎新婦も増えている。浮わついているかもしれないが、キャンセル時の規定は最初にしっかり確認しよう。