新1万円札の「日本資本主義の父」渋沢栄一は、40年近く1万円札の顔を務めた福沢諭吉からバトンタッチするが、この両者と縁深い人がいた。
「ゆかりがあった福沢諭吉でなくなるのは寂しい気もするが、渋沢栄一が選ばれたのは誇らしく、うれしい限り」と喜んだのは、元衆院議員で会社経営者の木内孝胤(たかたね)氏(52)だ。

 木内氏は“華麗なる一族”として知られる。三菱財閥の創始者である岩崎弥太郎の玄孫に当たるだけでなく、母方は渋沢栄一の直系で、木内氏はひ孫。父方も祖父の妹が渋沢栄一の孫と結婚し、関係性は深い。

 また祖父の弟が福沢諭吉の孫と結婚しており、縁戚関係にある。新旧1万円札の図柄の両者と縁戚関係というのは、華麗なる一族でしかなしえない巡り合わせだ。

 木内氏は偉大なる系譜をたどるように福沢諭吉が創設者である慶応大学卒業後、三菱グループの中核である三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に就職し、メリルリンチ日本証券など外資系企業を経て、衆院議員となった。

 木内氏は「渋沢栄一は晩年、社会貢献の慈善事業が全面的に出るが、競争主義でもあった。でもその競争の中には温かみがあった。ぜひ(渋沢の著書)『論語と算盤』を多くの人に読んでもらい、世界経済の解決策になれば」と話す。

 一方、紙幣を巡っては、電子マネーや仮想通貨、QRコードなど新技術の台頭で、キャッシュレス化が急速に進んでいる。

 木内氏も「50年後には紙幣や硬貨はなくなっているでしょう。ただ、貨幣という概念は人間社会がある限り、電子マネーや仮想通貨になってでも生き残り続ける」と話す。渋沢栄一は最後の1万円札となるかもしれない。