森友学園、加計学園問題が国会を揺るがしている中、別の教育財団が国会で取り上げられていた。年末に「今年の漢字」を発表することでおなじみの公益財団法人「日本漢字能力検定協会」(漢検協会)だ。3月末、参議院文教科学委員会に同協会の高坂節三代表理事が参考人として招致され、質問に立った大島九州男参院議員(民進党)から様々な疑問をぶつけられた。なぜまたこの時期に、漢検協会が問題となっているのか?

 2009年に創業者親子が逮捕された背任事件や受検者減少など、諸問題を乗り越えて、生まれ変わったはずの漢検協会。今回、高坂代表理事が参考人招致されるキッカケとなったのは、3月発売の「週刊新潮」の「千年紀に刻まれた負の歴史 京都『平安神宮』が北朝鮮資本に乗っ取られる」という記事だ。一見すると漢検とはまったく関係ないようだが、決してそうではない。

 新潮が「北朝鮮資本の融資が入っている」と指摘した平安神宮境内の商業施設「京都・時代祭館 十二十二」(昨年12月オープン)の事業主である一般財団法人「京都平安振興財団」の複数の役員は、漢検協会の役員でもあるからだ。

 また、京都平安振興財団の代表理事は過去に漢検協会に関わっており、14年には新潮に「暴排条例における『密接関係者』と見なしうるのではないか」と報じられた人物。この記事を巡って、代表理事は新潮社などを名誉毀損で提訴するも、新潮社の勝訴となった。

 これらを受けて、質問に立った大島議員は、一度は下げた検定料を赤字を理由に値上げしたことに関連して「経費の使い方に問題があるのでは?」という趣旨の疑問を高坂代表理事に投げかけた。

 特に問題視したのが、16年に開館した「漢検 漢字博物館・図書館」(通称・漢字ミュージアム)と、それに併設されている本部に関してだ。

 同地は弥栄中学校の跡地で、京都市から60年間の定期借地。大島議員は周辺の相場に比べて借地権料が高すぎるとした上で、約23億円といわれている建設工事代についても「受験者が減少する中で、コスト削減を迫られている組織が、23億くらいかけているみたいですけど、本社ビルを建てている、この発想が理解できない」とした。

 高坂代表理事は「土地の問題ですけど、我々としては検定をちゃんとしてもらって言われた数字であって、京都市と随分交渉してきた」と借地権料は適正だと主張した。

 大島議員が過去に京都平安振興財団の代表理事が漢検協会に関わっていたことを指摘すると、高坂代表理事は「もともとが雇用契約としてはアドバイザーであって、いま全然関係のない方なんで、それも付け加えさせていただきます」と“反論”した。

 大島議員が「第三者委員会などをつくって、もう一回内部を検証し直すことが必要」と求めると高坂代表理事は「慎重に検討させていただきます」と返答した。漢検協会は、税制で優遇される公益財団法人であること、漢字という教育に関わっている事業を行っていることから、透明性が求められることは言うまでもない。万人が見ても、一切の疑念を抱かせないクリーンな組織であってほしい。