逃走1週間 窃盗犯を甘く見た警察の初動ミス

2018年04月16日 18時15分

 愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場から受刑者の平尾龍磨容疑者(27)が逃走してから15日で1週間。潜伏先とみられる広島県尾道市の向島では愛媛、広島両県警の捜査員延べ約6600人が投入されるも、あざ笑うかのように現金や衣類などが盗まれる被害が7件相次ぎ、現場から同容疑者の指紋が検出された。

 刑事時代に多くの窃盗事件の捜査を手掛けた犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は「警察の初動が甘かった」と語る。同容疑者は逃走時に「車をお借りします。一切傷つけません」とメモを残した。行為はネット上で「紳士」と称され、「応援したくなる」などの書き込みもあった。

 だが、小川氏は「窃盗とは『自分の物にしようとすること』。メモを残したのは、逃走手段として使用を主張するためで『被害者に申し訳ない』の意味ではない。必死で逃げているのに、捕まった後に車盗難の罪に問われないことにまで頭が回るタイプだ」と指摘して、逃走開始時に300人しか人手を出さなかった警察の対応を批判する。

「殺人犯と違って、窃盗犯は日々犯罪を繰り返し、常に警察や人の目を気にして計画的に行動する。捜査員の数を小出しに増やしてるが、現場には疲弊も広がる。失敗だった」

 2014年、川崎の検察庁施設から強姦などの容疑者が逃走したときは、48時間で延べ1万人超の警備を敷いて逮捕した。1万人と比較して少なすぎる今回の数字に、窃盗犯を甘く見た意識が透ける。

「平尾容疑者は夜間に動く“出店荒らし”だった。昼間は見つからない」と小川氏は、移動式防犯カメラや周囲を照らすハロゲン車設置を提案。「防災無線を使うのは格好が悪いかもしれないけど『言い分を聞くから出てこい』と呼びかけないと」

 警察には急がねばならない理由がある。「検問で大渋滞が続き、住民はいらだっている。男を見つけたとき、捕まえようと追いかける可能性がある。必死な相手から返り討ちにされる危険がある」。ケガ人や死亡者が出たら…。警察はこれ以上の失態は許されない。