警察の点数制度は“正義”につながっているのか。容疑者の指紋を現場で採取したと偽り捜査報告書を作ったとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた元熊本県警警部補の無職、川添光修被告(58)の判決公判で、熊本地裁は30日、懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。

 熊本北署(現熊本中央署)の刑事1課鑑識係長だった2014年10月からの約2年間、部下らと共謀のうえ、容疑者の指紋を現場で採取したと偽った捜査報告書を作った。警察署では現場に残っていた指紋と容疑者からの指紋の一致件数で努力目標を定めていた。川添被告は「達成率を上げるため」と動機を証言していた。裁判長は「刑事司法の信頼を失わせる悪質な犯行」と批判した。

 また、読売新聞によると、福岡県警交通機動隊の筑豊地区隊員十数人が昨年、夜間の巡回勤務をしたという虚偽報告をしたと報じた。同紙は「摘発目標には達していたので、巡回したくなかった」との隊員の言葉を紹介している。

 両県警の失態に共通するのは、警察の“点数稼ぎ”の負の面である。

 別の県警の警察官は「時期によって、窃盗・薬物など刑事事件の検挙のノルマが設定される。上から尻を叩かれ、現場は強化月間の“点数稼ぎ”で必死になる。検挙率を上げるため、(難しい事件の)被害届をわざと受理しないこともある」と話す。

 点数制度はモチベーション向上につながる側面はあるものの、優秀な警察官ばかりいるわけではない。証拠の偽装や虚偽報告などの腐敗につながりかねない。ある捜査員は「目標達成後は手を抜くこともある。薬物の取り締まり強化のときなんかは、たとえば声をかけて止めた車の中でブツや道具を見つけても、スルーしてあげることも。一緒に巡回している仲間が見つけたら逮捕するけどね」と話している。