オウム被害者が死刑執行に待った 脱洗脳者研究の有用性訴える

2018年03月20日 17時30分

 オウム真理教家族の会(旧被害者の会)の永岡弘行会長や日本脱カルト協会の西田公昭代表理事、滝本太郎弁護士らが19日、日本外国特派員協会などで会見し、オウム事件の確定死刑囚で、麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚を除く12人の刑執行に「待った」を訴えた。

 14、15日にかけ、7人の死刑囚が東京拘置所から全国5か所の拘置所へ移送され、刑執行のカウントダウンに入ったともいわれる(本紙昨報)。脱カルト協会や家族の会らは先日「12人の死刑執行回避」を求め、上川陽子法相に陳情していた。

 永岡氏は教団からVXで襲われ、後遺症が残る。また滝本弁護士もサリンやボツリヌス菌などで3度も殺害危機に遭った。それでも死刑執行を望まないのは、事件の真の解決にはならないとの考えからだ。

「(死刑囚12人は)麻原の手足でしかなかった。LSD(幻覚剤)や覚醒剤が使われ、異常な精神状態にあった。友人でもあった坂本堤弁護士を殺したのは許せないが、刑を執行すれば、12人の殉教者が出たと(信者が)喜ぶだけ」(滝本氏)

 死刑囚のほとんどは洗脳が解け、拘置所から麻原を崇拝する信者を逆にカウンセリングする者もいるという。

「12人がいかに過ちに気付いて、脱会したのか? 心理的メカニズムの解明は有用」(脱カルト協会の山口貴士事務局長)

 12人の心理状態を研究していくことは、世界中で問題となっている宗教的テロリズムの解決にもつながるとみている。

 被害者側にもかかわらず死刑回避を訴える姿には外国メディアから「死刑廃止論者」のスタンスではないかといぶかしむ声も出たが、それぞれが「死刑制度自体は必要」「反対」と賛否を明らかにする場面もあった。

 すべては麻原死刑囚による洗脳で、元信者は加害者でありながら被害者というカルト問題の複雑さが横たわっている。20日で地下鉄サリン事件発生から23年となったが、全容解明したとはいえず、いまだ闇は深いままだ。