オウム死刑囚 早期の死刑執行に踏み切る可能性は?

2018年03月20日 07時30分

 13人が死亡、6000人以上が重軽傷を負った地下鉄サリン事件から、20日で23年を迎える。同事件を含むオウム真理教による一連の事件で死刑が確定した7人が、14日から15日にかけ一斉に、東京拘置所から刑場のある全国5か所の拘置所へ分散移送された。法務省は、共犯者同士の接触を避けることなどが目的としているが、早ければ節目の日である20日に同時執行されるとの話も、まことしやかにささやかれている。このタイミングでの派手な“分散移送ショー”で、早期の死刑執行に踏み切る可能性は?

「もともとは4月の予定だった」と声を潜めるのは政府関係者。すでに2月には、法務省幹部が複数の地方拘置所を訪れ、死刑囚が入る独房と刑場を視察したという。実はこの問題、5月までに米朝首脳会談が実現しそうなこととも関係している。

「オウムと北朝鮮の関係は、どこまで深いかはともかく、事件当時からささやかれていた。日本としては、オウム死刑囚の死刑執行で北朝鮮を刺激したくない。そんな折、米朝会談が現実味を帯びてきて、5月までは事実上、北朝鮮問題が棚上げに。だから4月に移送という話で進んでいた」

 それが前倒し、しかも平和の祭典である平昌オリンピック・パラリンピックの閉会(18日)を待たずにというのは、本紙既報通り「メディアを連日にぎわせている森友問題から矛先を変えるための政権コントロール」だと同関係者もみている。

「執行日はすでに大筋で決まっているはず」と指摘するのは、ある警察OBだ。

「刑を執行しないなら、分散移送する必要も、意味もない。ただ分散しただけでは、警備上の問題など警察や拘置所のリスクが増すばかりだから、そんなことを法務省や警察庁があえてやるわけはない。執行時期を慎重に検討するなら、1人ずつ、ゆっくり移送すれば済む話」

 各拘置所では、収容人数に対する刑務官の数がただでさえ少ないのに、今回の一斉移送後は、夜勤を増員するなど特別厳戒態勢を敷いているという。「特別な勤務態勢が長く続くとは思えない。上川陽子法務大臣にもSPが普段の数倍付いていると聞くし、こんなのずっとなんて無理だろう」と同OB。

 上川氏は現在2度目の法相だが、前回は闇サイト殺人事件(2007年)の死刑囚1人、今回も昨年末に市川一家4人殺人事件(1992年)で再審請求中だった死刑囚ら2人の死刑を執行した。12年末からの安倍政権で執行していないのは、1か月余りと短命だった松島みどり元法相(61)だけで、最初の法相・谷垣禎一氏(73)は11人の死刑を執行した。

 過去最多は宮崎勤死刑囚など13人の故鳩山邦夫氏で、もし複数の同時死刑執行に及んだとしても突出して多いわけではない。死刑は法律上、確定から6か月以内の執行が定められている。

「法務大臣は任を受ける時点で、死刑を執行する腹はくくっている」(同OB)とはいえ、オウム事件の死刑執行は一法務大臣のはんこで決められる案件ではないだろう。法相、首相そして内閣が危険にさらされるリスクもある。

「ただ、報復を恐れ、執行できないようなら、ヤクザやテロリストなど組織犯罪首謀者の処刑はできない。結局はいたちごっこ。死刑確定者は現在、再審請求中の者や冤罪とされている者を含め100人を超える。その中から間違いのない者を慎重に選んで執行しているのも事実で『病気で亡くなるのが一番だ』と言う関係者も中にはいる。でも一連のオウム事件は100年に一度の大事件と言われ、被害者や遺族の数や心情を考慮すれば、執行以外はあり得ない」と同OBは話す。

 森友問題、北朝鮮問題などで支持率が低下している安倍内閣。オウム事件の死刑囚の処刑を行えば、メディアが一斉に大きく報じるのは間違いない。
 どんな批判が出ようとも近日中に決断を下すことは十分にあり得る。

 ちなみに、死刑執行は通常、午前中。最近は、執行ボタンを押す刑務官の精神的負担を少しでも軽減させるため、休日前の金曜に行われるケースが多いという。