懲役30年、罰金118億円求刑の朴前大統領 いずれ釈放される“韓国ならでは”の恩赦システム

2018年03月01日 07時30分

朴前大統領(ロイター)

 韓国の前大統領・朴槿恵被告(66)の論告求刑公判が2月27日、ソウル中央地裁で開かれ、検察側は懲役30年と罰金1185億ウォン(約118億円)を求刑した。知人の崔順実被告(61)と共謀して、大企業から多額の賄賂を受け取った収賄罪などに問われていた。朴被告の年齢を考えると、事実上の終身刑といっていいが、専門家は「いずれ釈放される」と断言。その裏には韓国ならではの恩赦システムがあった――。

 朴被告は崔被告と共謀し、複数の大企業に対し、崔被告が実質支配した2つの財団に774億ウォン(約78億円)を拠出するよう強要した罪などで昨年4月17日に起訴された。

 起訴された事件は追加を含めて20件を超え、サムスン電子の副会長から崔被告の娘の乗馬支援費など433億ウォン(約43億円)相当の賄賂を受け取った罪、朴政権に批判的な文化・芸術界関係者のリストを作成・管理させ、政府の支援対象から排除した罪、青瓦台(大統領府)と政府機関の機密文書を崔被告に渡した罪などにも問われている。

 検察は公判で「国民から委任された大統領の権限を私有化して国政を壟断(ろうだん)し、憲法の価値を毀損した」「被告は憲政史上初めて罷免され、韓国の憲政史に消せない汚点を残した」と断罪。昨年10月に自身の勾留が延長されたことに反発し、公判をボイコットしている朴被告は、この日の求刑公判にも出廷しなかった。

 懲役30年に罰金118億円――。日本人からすれば「重過ぎるのでは?」と感じる量刑も、韓国では「ごく妥当な求刑」だという。

「コリア・レポート」の辺真一氏は「日本と違い、韓国の大統領は非常に強い権限を持つ。それを悪用して私腹を肥やし、国民の政治への信頼を著しく損なった責任は非常に重い。118億円という罰金額は、それほど彼女が悪さをしてきた証明でもあります」と語る。

 韓国では「罪と罰」の文化、すなわち「どんな身分でも、罪を犯したものには罰を与える」という意識が根付いており、相手が前大統領だろうが容赦はしないという。

 共犯の崔被告は一審で懲役20年(求刑25年)、罰金180億ウォン(約18億円)の重刑を言い渡されて控訴中。朴被告への贈賄罪などに問われたサムスン電子副会長、李在鎔被告の二審判決も「韓国最高の政治権力者の朴前大統領と側近の崔被告が脅迫して私益を追求し、李被告側は断れなかった」と認定、要求型の贈収賄との構図が改めて明確になっている。朴被告も懲役25年程度の有罪判決が下る可能性が高い。

 一方、韓国は恩赦によって減刑される政治犯が多いことでも知られている。辺氏は「8月15日の独立記念日や12月25日のクリスマス、新大統領の就任日など、記念日には恩赦を出すことが多い。事実上の終身刑といわれる朴被告だがいずれシャバに出てくるでしょう」と話す。

 事実、韓国の第11、12代大統領の全斗煥氏(87)はクーデターのほかに多数の市民が殺害された光州事件により、1996年に死刑判決を受けたが、金泳三政権下の97年12月に特別赦免となり、釈放されている。

「死刑判決を受けた人間が釈放されてしまうのが韓国。全氏に至っては、釈放直後に大統領になった金大中の就任祝いに出席。それもひな壇に座っていました」(辺氏)

 注目の朴被告の判決公判は4月6日に開かれる。