NEM流出被害者「仮想通貨で返還要求」集団訴訟の深刻懸念

2018年02月16日 17時00分

 約580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」の不正流出を招いたコインチェック社に対し、顧客7者が15日、約1950万円分の仮想通貨の返還を求め、東京地裁に提訴した。

 同社に対する集団提訴は初。原告は関東近郊の男女5人と2法人。訴状などによると、顧客は昨年3月以降、ネムなど計12種類の仮想通貨を同社に預けていたが、1月の不正流出を受け、同社がサービスを停止したため、売買や引き出しができなくなったという。同社の利用規約には「顧客の要求で金銭を払い戻す」などと規定されており、顧客側は「仮想通貨の返還を求める権利がある」としている。

 弁護団は27日に2次提訴を予定しており、仮想通貨返還のほか、価値の下落に伴う損害賠償も求める方針。問い合わせは1000件ほどあるといい、弁護団の田畑淳弁護士は「利用者は26万人。戦後最大規模の消費者事件とも言えるのではないか」と話す。

 今回の訴訟のポイントは「現金ではなく、仮想通貨で返せ」という点だ。ネムの保有者に対し、同社は「ネム88円レートで補償する」と表明。事件後、ネムは暴落し、現在は60円前後となっているため、被害者にしてみれば88円返金は悪くない話のように思えるが…。

「現金で戻されるとその時点で強制決済になり、雑所得扱いで税金がかかる。顧客の中には信用取引で持ち金の数倍の取引をしていた人もおり、このタイミングで強制決済されると破産する人も出てくる」とは仮想通貨に詳しい人物。

 原告がネム以外の仮想通貨の即時返還を求めているのも「いずれ同社がネム同様、現金で補償すると言い出しかねない」と不安に感じたからだ。

 コインチェック社の大塚雄介取締役(37)は13日の会見で、顧客の訴訟提起の動きについて「そこに関しては申し訳ないと思っています」と謝罪するも、補償や取引再開の具体的な期日については明言を避けた。

 弁護団は「のらりくらりと逃げ続けている」と糾弾。“訴訟地獄”で追い込むつもりだ。