コインチェック社580億円流出も「仮装通貨市場」今が勝負時は本当か

2018年02月01日 17時00分

 仮想通貨取引所大手コインチェックから不正アクセスにより、約580億円分の仮想通貨NEM(ネム)が外部流出した事件で、流出量が同社発表よりも実際には約3億円ほど多かったことが31日に判明するなど、混乱はさらに拡大している。一方で、事件によって仮想通貨バブルがはじけるかと思いきや、一部ではさらにチャンスと盛り上がってきているという。どういうことなのか?

 ネムの流出量がコインチェック側の発表よりも多かったことが31日、インターネット上の記録でわかった。コインチェックは26日、不正アクセスにより5億2300万単位が流出したと発表したが、同社の口座アドレスから流出したのは発表より330万単位多い、合計5億2630万単位だった。流出時のネムの価格は1単位100円前後だったため、実際の被害額は発表よりも3億円以上多かった。コインチェックは「調査中」としている。

 コインチェックは30日、流出事件後に停止していた口座からの出金再開について、数日中に見通しを発表すると表明。出金が再開されれば多くの顧客が仮想通貨を日本円に換金し、出金するとの思惑から、31日はネムとは別の仮想通貨ビットコインの価格が110万円台から一時100万円近くまで下落。他の同通貨も軒並み落とした。

 10%以上の下落は“暴落”ともいえるが、この手の急騰落は、仮想通貨市場では日常的に繰り返されてきた。すでに“免疫”ができている投資家の中には「ビットコインは800万円まで上がってもおかしくない。ネムも次に下がった時は買い」と強気の声も聞かれる。

「問題のネムは1年前に1ネム=0・4円ほどだったのが、年初に200円を突破した。マイナー通貨でしたが、今回の騒動でメジャーとなった。事件後も一時上げに転じたほどで、仮想通貨の危うさと同時に仕組みが一般に認知されたともいえる。いったん落ち着けば、仮想通貨市場への新規参入が見込め、また買い場になるとみられています」(一般投資家)

 約580億円もの巨額マネーが失われたにもかかわらず“仮想通貨神話”が依然崩壊しないのは“国策”という側面もある。日本では世界に先立ち昨年、改正資金決裁法が施行され、仮想通貨取引所は登録制となった。

「各国が仮想通貨の規制に乗り出している中で、日本は仮想通貨を監視下に置くのと課税目的で登録制にした。お墨付きを与えたともいえるが、コインチェック事件で金融庁は『法規制前からの業者で、登録申請中のみなし登録だった』の一点張りで責任逃れしている。それでいて業務停止の措置を取らずに改善命令の生ぬるい対応です。せっかく盛り上がってきた仮想通貨市場に水を差したくない思惑を隠せない」(金融市場関係者)

 他の仮想通貨取引所は注目されている今こそ勝負時と動いている。広告の自主規制が叫ばれている中、国内取引所最大手の「ビットフライヤー」は女優の成海璃子(25)を起用したCM放送を急増させている。31日午後には、新たに仮想通貨「リスク(LISK)」の取り扱いを開始。直後に数時間にわたってサーバーがダウンし、取引できない大失態があったものの、リスクは午前中の1リスク=2300円台から発表後には、4000円近くまで爆騰した。

 また通信アプリ大手のLINE(ライン)も31日、仮想通貨事業への参入を発表し、金融庁へ申請中だ。金融庁によれば国内の取引事業者で登録済みは16社、みなし登録が16社で、10社以上が申請手続きをしている最中で、開業ラッシュだ。

「仮想通貨は1000以上あり、まだブレークしていないマイナーな通貨を取り扱えば客は呼び込めるとあって儲かる。法規制もまだ緩く、有能な人材の奪い合いになっている」(業界関係者)

 雨後のたけのこのように次々と生まれる取引所と仮想通貨に今回の教訓は生かされるのか。