「橋下市長殺害予告」が異常展開

2013年01月26日 11時00分

 大阪市立桜宮高バスケットボール部主将の男子生徒(17=当時)が顧問の男性教諭(47)から体罰を受けた後に自殺した問題が、異様な展開になってきた。自殺した生徒の父親が23日、暴行容疑で顧問を大阪府警に刑事告訴したが、その前々日の21日夜、橋下徹大阪市長(43)に対し“殺害予告”がネット上に現れていたのだ。「殺すぞ」とのツイッターは、同校の女子生徒を自称する人物によるもの。市教委が調査を開始したが、体罰自殺事件は思わぬ方向へエスカレートしてきた。

 府警によると告訴内容は、自殺前日の昨年12月22日の練習試合の際、顧問が生徒に暴行を加えた疑いがあるとしている。捜査関係者によると、顧問は生徒が自殺した同23日、府警の参考人聴取に対し、指導の一環で暴力を振るったと認めていた。今後、暴行容疑であらためて事情聴取し、立件の可否を判断する。

 橋下市長はこれを受け「刑事手続きについては司法に委ねないといけない。ただ、学校の現場でこういう事態が起きたことは大変、重く受け止めないといけない。生徒が亡くなって、その家族が指導者に刑事告訴をするのは普通の状態じゃないです」と断罪した。

 一方で、同校の体育系学科の募集を中止させた橋下市長に対して、在校生から反発の声が上がっていたが、今度は「自称桜宮高3年の女子生徒」がツイッター上で“橋下市長殺害予告”をしていたことがわかった。

 問題のツイートは橋下市長が桜宮高校を訪問し、入試中止の事情を説明した21日夜に発信された。

「あいつ、今日何しに学校きたん? 誰しもが思うやろな、殺すぞて」(原文ママ)

 過去に同じツイッターアカウントで、自身が桜宮高校の生徒であることや、進学先なども明記していたため、インターネット上で炎上した。

 橋下市長は同校生徒について「僕がいろんなことを言うもんですから、自分たちが侮辱、批判されたという意識になってますけど、学校現場でこういう事態が生じたことを原点に立ち返って見つめ直さないといけない。異常な事態ですから…」と語った。だが、いまだ在学生徒や受験生の反感はくすぶっている。

 殺害予告について市教委は本紙に「生徒が実在するかどうかも含めて調査中です。教育現場でのことですので調査結果を発表することはありません」としている。

 問題は、このツイッターが“なりすまし”のイタズラでなく、本当に同校生徒によるものだったら、刑事告訴された顧問だけでなく「殺害予告」した生徒にも警察の手が伸びかねないこと。

 日本大学の板倉宏名誉教授によると「一般的には殺害予告は脅迫罪になるでしょう。高校生ならば警察から家裁に行って保護観察になります。ただ、今回はツイートも消していますし、事件化することはないでしょう。警察や学校から厳重注意される程度」と最悪の事態は避けられそう。

 だが、果たしてこれで終わるのか。板倉名誉教授は、この顧問について「間違いなく暴行事件です。(量刑は)50万円くらいの罰金になるでしょう。先生と生徒の関係だと実際は軽く扱われがちですが、今回は支配している者に対する暴行。軽くはならないでしょう。入試が迫っているので、それまでに逮捕される可能性が高い。そうなれば本人は休職。早期復帰の見込みはないでしょう」と分析している。

 顧問の異動にさえ反発し、本気で復帰を熱望している一部生徒たちが、刑事告訴→逮捕によってますます大暴走する不安は膨らむ。体罰自殺事件は、予想外の危険な展開になった。