【富岡八幡宮惨殺事件】参拝客激減は必至 新横綱奉納土俵入りにも影響か

2017年12月09日 17時00分

弟に殺害された宮司の富岡長子さん

 暴行問題の渦中にある大相撲の歴代横綱も奉納土俵入りをする東京・江東区の富岡八幡宮で女性宮司、富岡長子さん(58)が元宮司で弟の富岡茂永容疑者(56)に刺殺された凄惨な事件の衝撃が拡大の一途をたどっている。神職が人をあやめる事態は「バチ当たり!」では済まず、1627年の創建以来、最大の危機に直面。果たして神社として存続できるのか、国内屈指の有名神社の現役神職の見解は――。また、茂永容疑者が凶行に走った動機は一体――。

「(神社で)こんな凄惨な事件は、聞いたことがない…」。有名神社の現役神職はこう漏らした。

 茂永容疑者は7日、妻の真里子容疑者(49)とともに境内付近の住宅の陰に約1時間隠れ、長子さんが車から降りるのを待ち構え、刃渡り約80センチの日本刀で殺害したとみられる。強い殺意と執念がうかがえる犯行だ。

 その後、茂永容疑者は境内で真里子容疑者の胸や腹を刺して殺害し、自殺したとみられる。

 茂永容疑者は1995年に父親の跡を継いで宮司に就いたが金銭・女性問題で2001年に解任された。直後から長子さんを中傷する怪文書が出回るようになり、06年には長子さんへの脅迫容疑で茂永容疑者が逮捕された。長子さんが10年に宮司代務者となると富岡八幡宮は長子さんを宮司と認めるよう神社本庁に具申したがかなわず、今年9月に神社本庁から離脱し、長子さんが正式に宮司に就いていた。

 今年、富岡八幡宮で初詣をしたという30代女性は「姉と弟が骨肉の争いをしていたとは知らなかった。“家内安全”をお祈りしていたのに恐ろしい」と声を震わせた。宗教法人である富岡八幡宮は祈祷料やさい銭、お守りなどの物販収入で成り立っているが、今回の惨劇で参拝客の減少は必至。神社として存亡の危機に陥りそうだ。さらには大相撲の新横綱の奉納土俵入りもどうなるのか。

 世間には理解しづらい独特な神社界について、前出の神職は「他のお宮さん(神社)の実情は関知していない。あくまでケース・バイ・ケース」と断った上で、富岡八幡宮の行方をこう指摘する。
「大きな神社で宮司を務められるのは50代あたりが相場。そういった叩き上げの人材がいれば(長子さんの跡を)継ぐだろうが、不在の場合、神社本庁に復帰の申請をすることも考えられる。神社本庁はこれを認め“非常事態”として(神職を)派遣し、その者が宮司代理に就いて神社を存続させる可能性はある」

 富岡八幡宮と神社本庁の関係は、長子さんの宮司の具申を巡り、深いミゾがあるとされるが、外部からの派遣という手があるかもしれないという。

 事件から一夜明けた8日も、富岡八幡宮への参拝者は途絶えることはなかった。「代々の付き合いがあるから、これからも通う」と近隣の60代氏子男性。前出神職も何らかの対策が取られるとし「(富岡八幡宮が)なくなることはない」と断言した。

 跡目争いが招いた富岡八幡宮始まって以来の悲劇。なぜこんなにも茂永容疑者は宮司職に執着したのか。神社本庁にも詳しい、元警視庁刑事で犯罪心理学者の北芝健氏は動機についてこう分析する。

「徳川家に保護されて発展した富岡八幡宮のかつての宮司は、神社本庁の事務総長も務めた。そういった過去もあり、茂永容疑者は若かりしころから、何をやらかしても許されたと聞く。富岡八幡宮は神社本庁から外れても潤沢な資金がある。宮司の月収は300万~400万円とも言われ、茂永容疑者は多方面に女性関係があったらしい。宮司から外れ、そういった放蕩ができなくなった恨みの犯行ではないか」

 前出宮司は「きょうだい間なら、なおさら私怨があったのかもしれない」と指摘する。

 自殺という不可解な最期に、北芝氏は「茂永容疑者は過去に長子さんを脅迫した容疑でパクられた。その時の聴取にイヤな思いをしたのでは。“再び官憲(警察)に辱めを受けるか!”と自殺したのかもしれない」と分析。「いずれにしても精神的におかしい」と断罪した。