“アパホテル詐欺被害事件”で8日に警視庁捜査2課が逮捕した地面師グループ9人の中に、“新橋資産家女性失踪事件”での成りすまし犯とみられる73歳の女がいたことが明らかになった。

 大手ホテルチェーンのアパグループの関連会社「アパ」(金沢市)との東京・赤坂の土地売買を巡り、9人は登記に必要な書類を偽造したとして偽造有印公文書行使などの疑いで逮捕された。アパ側は2013年、代金として約12億6000万円を支払ったが、土地は取得できなかった。逮捕されたのは地面師グループの主犯格の宮田康徳容疑者(55)や司法書士の亀野浩之容疑者(53)ら男女9人。

 地面師グループはケースによって役柄を分担。アパホテル事件で土地所有者に成りすました老人役2人の世話役を演じていたAが、新橋資産家女性失踪事件では、白骨死体で発見された高橋礼子さん(60=当時)に成りすましていたようだ。

 新橋の事件では「私、土地なんか売ってないわよ」と周囲に語っていた新橋の大地主の高橋さんが昨年3月に失踪。その年の10月に自宅近くの通路の溝で白骨死体で発見されたが、その間、高橋さんが所有していた時価6億9000万円の土地が地面師グループによって、売買されていた。

「高橋さんに成りすましたのがA。関係者に顔写真を見せて、確認を急いでますよ」(警察関係者)。20年の東京五輪で高騰し続ける都内の不動産を巡っては、地面師グループによる詐欺事件の約50件が未解決だという。地面師グループの人間関係は複雑に絡み合い、村社会のようなもの。都内でうごめいているのは100人以上に及ぶともみられ、これらのつながりは“地面師村”と呼ばれている。

 捜査関係者は「今回逮捕されたヤツらが、別の事件にも関与している疑いが続々。その他の地面師たちが芋づる式に逮捕されるのは時間の問題ですよ」と語っている。