神奈川県座間市で起きた“頭部9遺体事件”で死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者(27)が、週明けにも行方不明となっていた田村愛子さん(23)殺害の容疑で再逮捕される。犯罪史に残る猟奇事件に、警視庁高尾署捜査本部は怒り心頭だという。同容疑者は「金目当てで殺した」との主張を崩していないが、捜査員は疑念を抱き、取り調べでは“あるワード”を引き出そうと必死になっている。ついには過酷な取り調べに同容疑者が体調不良を訴えたという。

「あいつはまだ肝心な部分を隠している!」

 そう憤るのは捜査関係者の一人だ。座間市のアパートから切断された男女9人の遺体が発見された事件は、白石容疑者の不可解な供述に捜査員が翻弄されている。

 白石容疑者は犯行動機について「金目当てでやった」と供述。最初に殺害した女性から50万円を手に入れたことで「楽して稼げると思った」そうだが、被害者の中には大金を持っているとは思えない15歳の女子高生も含まれる。金銭目的ならば、殺す前に所持金を聞いてもいいはずで、殺害後に金を奪うやり方は合理的とは言い難い。

 殺害方法にもこだわりが感じられる。白石容疑者は「首吊り士」のツイッターアカウントで自殺願望者を募っていたが、その名の通り、首つりに異常なまでに固執していた。部屋探しの際は、首をつるのに都合が良いロフト付き物件を切望。アパート入居後は「首吊り部屋」と称していた。

 白石容疑者は「ロフトにロープをかけて首をつって殺害した」と供述。ロープは使ったら処分し「その都度、新しいロープを用意していた」と話していることもわかった。なぜ新品に替える必要があったのか。部屋からは未使用のロープ1本が見つかっており“10人目の殺人”を計画していた可能性が高い。

 発売中の「週刊文春」は、容疑者のスマホに血だらけの遺体写真や、解体の一部始終を収めた画像が大量に保存されていたと報じた。さらにネットの検索履歴からは「死体の解体」や「腐敗臭の抑え方」に加え、死体との性行為を指す「屍姦」や「死体を食べる」といったワードが並んでいたという。

 前出捜査関係者は「これだけ見ても金銭目的とは思えず、快楽殺人の要素が強い。捜査員は白石から『人を殺してみたかった』や『人体に興味があった』というシリアルキラー特有の供述を引き出そうとしているが、本人はかたくなに『金目当て』という主張を崩さない。これだけのことをやっておいて、精神異常者扱いされるのが嫌なのか」と語る。

 白石容疑者は週明けにも田村さん殺害の容疑で再逮捕される。捜査本部は再び勾留期限を目一杯使って取り調べを行い、それが切れたら、別の被害者への殺人容疑で再々逮捕していく方針だ。

「死体遺棄容疑は処分保留にして、本線の殺人容疑で起訴するとみられる。捜査終了には半年はかかる見通し。裁判で証言を覆されないよう、当局は供述を録音しているそうだ」(テレビ関係者)

 冗舌だった白石容疑者もこのところは都合の悪い質問に黙り込み「言いたくない」と供述を拒否することも増えているという。何より連日の過酷な取り調べで心身ともに疲労困ぱい。最近は「体調不良」を訴え、多摩市内の病院で治療を受けたという情報もある。

「取り調べは1日10時間前後行われている。証拠を淡々と突きつけられ、矛盾点をしつこく聞かれるため、心身ともに追い込まれる。体調不良の白石容疑者は現在も通院中。その様子をカメラに収めようと、報道各社が集まっている」(同)

 さすがの白石容疑者も音を上げつつあるようだが、殺害された被害者の苦しみに比べれば、大したことはない。

 捜査本部にしてみれば、密室での9人もの死体遺棄、殺人の犯行を裏付けねばならないのは気の遠くなるような捜査だ。真の動機解明まで白石容疑者にとっては地獄の取り調べが続く。