「歩きスマホ」なぜここまでイラつかせるのか

2017年08月22日 17時30分

歩きスマホは実際に危険なだけでなく、見る人をイラつかせることもある

 このところ問題化してきた“歩きスマホ・トラブル”のニュースが目立っている。15日夜に東京・台東区の路上で歩きスマホをしていた20代の男子大学生に、20代とみられる男2人組が「危ないじゃないか!」と因縁をつけ、腹などを蹴りけがを負わせた。傷害の疑いで警視庁は逃走した2人の行方を追っている。暴力はよくないが“歩きスマホ”は人をイライラさせるのは確か。その原因を専門家に聞いた。

 台東区の事件2日前の13日には“歩きスマホ”を大量発生させる要因にもなった「ポケモンGO」の企画展が開催されていた横浜市で、50代の男が前を歩いていた男性を「ポケモンGO」で遊んでいると思い込み、蹴りつけるトラブルが発生。

 また、3日にも東京・町田市でスマホで音楽を聴いていた30代の女性に「歩きスマホやめろ! 俺は組の者だ」などと入れ墨を見せて脅し尻を蹴ったとして、暴力行為法違反の疑いで無職の男(55)が警視庁町田署に逮捕されるなど、8月に入って“歩きスマホ”の事件やトラブルが絶えない。

 40代のサラリーマンは「自転車に乗って歩行者を追い越しざま、ベルを“チリン”と鳴らしても全然よけないから見ると大抵、イヤホンを挿してスマホで音楽を聴いている。駅でぶつかってきた相手が“歩きスマホ”だったりすると無性に腹立たしい。本や地図を読みながら歩いている人には大して腹が立たないのに…」とうんざり顔だ。

 スマホの利用者ならば誰でも“歩きスマホ”をやってしまった経験があるだろうが、なぜ他人の同じ行為はこれほどイライラするのだろうか。

 犯罪ジャーナリストの北芝健氏は「自分がスマホを使ってる時間には免罪符を与えている。これは純粋なエゴです。逆に自分が使っていない時間は、向こう(歩きスマホ側)のエゴに対して怒りを感じるのです」と指摘し、イライラする原因を「自分が電車に間に合うように急いでいる時に、マイペースに歩きスマホで前をふさがれれば、邪魔で当然イライラします。“皆の動きを阻害する=協調性の違反者”とみるのです」と分析する。

 酔っ払いや大声を上げて道をふさいでいるような人などに対しては、そもそも社会規範の順守を求める気持ちが弱いため、かえってイライラしないという。

「本を読みながら歩いている人は数も少なく“資格試験でも迫ってるのかな”“これから取引先でプレゼンかな”などと切羽詰まった状況なのだとおうように解釈できるのです」と北芝氏。

 だが、もし歩きながらスマホで勉強をしていたとしても、ゲームをしているだけじゃないかと思ってしまい、許せないと感じてしまうのだ。

 今後、スマホをめぐる犯罪は「増加の一途だろう」と北芝氏。「各メーカーで(スマホの)液晶パネルのタッチ動作の速さを争っている。それに慣れたユーザーは気が短くなっている。社会の不文律(ルール)の違反者という大義名分があるから、ヤンキーからも憂さ晴らしの標的になりやすい。“スマホ殺人”まで起きる可能性もある」と北芝氏は警鐘を鳴らしている。