いじめ&自殺撲滅にも「LINE」 親が注目する大津市のモデル事業

2017年08月09日 10時00分

 いじめ&自殺を撲滅せよ! 子供たちが自ら命を絶つ悲劇が相次いでいる中、無料通信アプリ「LINE」の運営会社と滋賀・大津市は7日、同市の中学生からLINE上でいじめ相談を受け付けるモデル事業を、全国で初めて開始すると発表した。文部科学省などは現在、24時間対応で電話による相談窓口を開いているが、中学生らがスマートフォンで主に活用するのはSNSとの調査結果も。LINE窓口はいじめに悩む中学生たちを救うことができるのか? 年ごろの子を持つ親たちは知っておく必要がある。

 同事業は、大津市の複数の中学校の中から生徒約3000人を選び、11月1日から来年3月末までの期間限定で実施。専用の2次元コードを読み取ることで、相談窓口のアカウントに登録できる。平日の午後5~9時の間、大津市から委託された心理カウンセラーが対応し、LINE上でやりとりするという。

 大津市といえば2011年、同市内の中学2年(当時)の男子生徒がいじめを苦に自殺する事件が起こったのが記憶に新しい。加害者の行為が言語道断なのはもちろんだが、学校や教育委員会のズサンな対応が火に油を注いで社会問題となり、結果として、いじめ防止対策推進法が成立したのは周知の通りだ。

 今回の取り組みに、同市の越直美市長(42)は「生徒に身近なツールを使い、相談しやすい環境をつくりたい」と語り、LINEの出沢剛社長(44)は「この事業を踏まえ、全国にも取り組みを広めたい」と話す。LINEを使ったいじめも行われる中、今回はLINEがいじめ撲滅のツールとして登場する。

 モバイル専門マーケティングリサーチ機関のMMD研究所によると、16年における中学生のスマートフォン所有率は40・9%。同年代の子を持つ保護者からは、携帯電話を持たないことや、持っていても既読スルーなどでLINEグループから外されたりする“LINEいじめ”を危惧する声も多い中、この相談窓口は、問題解決の糸口となるのか。

 10代のSNS利用事情に詳しいITジャーナリストの高橋暁子氏は「LINEは友達になってグループに招待されないといけないので、いじめが外部から分かりづらかった。アンドロイドのいじめ対策アプリ『Filli(フィリー)』というものもありましたが、中高生が圧倒的に持ってるのはⅰPhoneだし、親のチェックに子供が許可を与える形だったので実効性に乏しかった」と解説する。

 こうした現状から、子供側から匿名で通報できる形が望ましいとの流れが生まれ、千葉県柏市では「STOPit」と呼ばれる匿名報告アプリが導入された。

「今どき世代の子たちはLINEでつながっていて、メールも電話番号も知らないことも多い。電話で話すほどじゃないなと思うことでもLINEだったら言える。でも、いじめは当事者にしか分からないので、今回もLINEが窓口になって、子供から相談が寄せられるのであればいいこと。匿名でできるといった工夫があれば、さらに効果を上げられるかもしれない」と今回のモデル事業に一定の評価を下した。

 一方で、スマホを持たない子供への対応をどうするのかも課題に挙がるが、高橋氏は「スマホがなくてもコミュニケーションが取れてる子に、必要もないのに持たせると子供の足を引っ張るだけ。『友達が持ってるから』というのは一番良くない」と安易に携帯電話を持たせることに否定的な見解を示した。

 その上で、「友達のつながりを感じ、切ることが難しいので、利用のコントロールが重要。必要性を親子でしっかり話し合い、子供に何で必要なのかをしっかり考えさせて、自分の軸をハッキリさせる。そうなるまではしっかりルール作りをして、保護者がうまく対処するしかない。子供に『嫌なことない?』などと耳を傾けてあげてほしい」とスマホを欲しがる子供に対する親の心構えを示した。