試験結果改ざんで山梨市長逮捕 地方自治体「コネ採用」の実態

2017年08月09日 07時30分

 山梨県山梨市の職員採用をめぐり、特定の受験者の試験結果を不正に改ざんしたとして、警視庁捜査2課は7日、虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで市長の望月清賢容疑者(70)を逮捕した。「間違いありません」と容疑を認めている。公務員試験といえば「公正、公平」がうたわれている一方で「地方であればあるほど口利きも…」との聞き捨てならない噂もある。そして、今回、不正が発覚してしまった。“コネなし”の公務員希望者に与える失望は大きい。

 望月容疑者が採用担当の市職員に、特定受験者の1次試験点数を水増しするよう指示していた疑いも判明。捜査2課は同日、望月容疑者宅を家宅捜索。8日にも山梨市役所を家宅捜索し、押収した資料を分析して経緯を調べるとともに、受験者との関係についても捜査を進める。

 逮捕容疑は、昨年に実施した市職員の採用試験で、特定の受験者を合格させるため、点数を水増しして虚偽の書類を作成するなどした疑い。捜査関係者によると、この受験者は合格ラインに達していなかったが受かった。

 山梨市によると、採用試験は1次が筆記で、問題作成や採点は外部の民間業者に委託している。2次の面接と小論文は、1次を通過した者が対象で、1次の点数は考慮されない。昨年は男女57人が受験し、今年4月に男性12人、女性5人の計17人が採用された。

 現行の採用方式は2005年に導入。2次試験に市長が面接官として立ち会うのは、前市長の在任中は取りやめていたが、望月容疑者が市長就任後に再開した。

 望月容疑者は山梨県議を経て、14年2月に市長に初当選。今年2月に離婚した元妻で、石材会社「差出石材」社長の望月治美被告(61)が、埼玉県に住む知人の男性に架空の投資話を持ち掛け、約3億7000万円をだまし取ったとして警視庁が逮捕、東京地検が7月に詐欺罪で起訴している。

 望月容疑者も02年まで差出石材の社長を務めていたが、詐欺事件への関与を否定していた。捜査2課は詐欺事件で望月容疑者宅を家宅捜索しており、その際に押収した関連資料なども分析、捜査を進めていた。その資料から不正改ざんが分かったということは元妻の詐欺事件がなければ、市職員の採用試験結果改ざんがバレなかったわけだ。

 行政の事情に詳しい詐欺研究家の野島茂朗氏は「役場のコネ採用は、地方に行くほど強い傾向があります。首長は決裁権がありますから、国会議員より力があるのです。地方自治は民主主義の学校と言われていますが、実質は決裁権がある首長を王様とする王国の部分もあります。役所の職員の人事にも首長は権力を握っています。王様だから不正がバレないという自信があったのでしょう」と指摘する。

 有権者は候補者の見極めをしっかりしないと、このような職権を乱用する人物を市長に選んでしまうわけだ。

「三権分立や監査委員など、タテマエ上のチェック機能はあっても、首長は権利者であり、権利を乱用すると今回のような不正なコネ採用は少なくありません」(同)

 ちなみに、山梨市が公表している昨年4月時の資料によると、一般行政職員の平均年齢は42・2歳で平均給料月額31万2766円、手当を含めた平均給与月額37万1286円となっている。全国平均より低いが、安定性は何ものにも代えがたいだろう。