土地取引で63億円損失・積水ハウス「地面師」にハメられた背景

2017年08月04日 17時00分

 大手住宅メーカー「積水ハウス」が都内の土地取引で63億円を支払ったにもかかわらず、土地を取得できなかったことが判明した。警視庁は「地面師」による詐欺事件の可能性が高いとみて捜査を進めている。

 積水ハウスが目をつけたのは、東京・品川区に広がる約2000平方メートルの土地。「海喜館」なる元旅館の建物があるが、ここ何年も営業しておらず、廃れた外観から、地元では「怪奇館」と呼ばれることもあった。

 ここを分譲マンションの建設用地として手に入れたかった同社は、所有者を名乗る70代女性と購入手続きを開始。不動産会社を通じて先に63億円を支払ったが、のちに女性側から提出されたパスポートなどが偽造されていたことが判明した。

 その女性は所有者でもなんでもないただの高齢女性で、地面師グループの一員。本物の所有者の女性と年齢が近く、当該地に関する知識も豊富だったことから、担当者はまんまとダマされてしまった。先払いした63億円の大半の行方はわかっていないという。

「現在、不動産会社や住宅メーカーは2020年の東京五輪を見越して、都内一等地を買いあさっている。我先にというノリなので、チェックが甘くなっていたのかもしれない。そのスキを地面師は狙っている」とは不動産業界関係者。

 当然ながら、ダマされた同社の担当者と司法書士は顔面蒼白だ。

 一部では「今回の件で担当者が自殺した」との話も出回ったが、積水ハウス広報は3日、本紙に「そうした噂が流れているのは把握していますが、自殺などしていません。事件の詳細は警察に相談しているので、口外できません」とコメントした。