阿寒湖に消えた中国人女性の謎 渡辺淳一ファンだったその足取り

2017年08月03日 17時00分

 北海道内を旅行中だった中国人の小学校教師・危秋潔さん(26)の連絡が取れなくなってから2日で10日以上たつが、いまだ行方が分かっていない。

 危さんは先月18日に単身、上海から函館に入った。札幌滞在を経て、22日に釧路市の阿寒湖温泉のホテルに宿泊。翌日は阿寒湖周辺を散策し、釧路駅近くのコンビニの防犯カメラに映っていた。その後の足取りが分からず、31日深夜には阿寒湖近くの林道で危さんとみられる女性が目撃されたという。

 危さんは札幌のゲストハウスに20日にチェックインし、帰国する25日までの宿泊費を支払っていた。22日に同所を出かけた際は室内にスーツケースや干しっぱなしの下着が置かれていただけに、なぜ阿寒湖まで足を運んだのか謎を呼んでいた。

 危さんは「失楽園」で知られる作家の故渡辺淳一さんのファンだったという。中国では渡辺さんの人気は高く、札幌にある「渡辺淳一文学館」が昨年、中国の出版社に購入されたほどだ。

 渡辺さんの作品には、天才少女の画家が阿寒湖で自ら命を絶つ「阿寒に果つ」がある。危さんは同作品に影響を受け、当初予定になかった阿寒湖を突如、訪れたのか?

 札幌のゲストハウスには両親に宛てた手紙が見つかっており「新生活を始める」との内容だった。31日の目撃情報は別人で、阿寒湖を経由し、既に別の場所に移動した可能性もある。

 22日夜の父親とのSNSでのやりとりが札幌市内からの発信だったため、何者かが危さんになりすましてスマホを操作した疑いもあるが、単なる位置情報測定の時間ズレともみられる。

 複数の防犯カメラの映像で見られる危さんに思いつめた様子はなく、普通に旅行を楽しんでいる様子だった。とはいえ、先月には神奈川県秦野市の山中で福建省出身の中国人姉妹が遺体で見つかった事件があり、中国では危さんも何らかの事件に巻き込まれたのではないかと関心が高い。

 中国政府側のプレッシャーも受けている捜査当局は、阿寒湖周辺だけではなく道内全域を捜索し、事件、事故、自らの意思による失踪の、あらゆる可能性を追っている。