先月、宮城県仙台市青葉区の仙台地裁の法廷で起きた、被告人が警察官2人を切り付けた殺人未遂事件で、仙台中央署は今月に暴力行為等処罰法違反、威力業務妨害、銃刀法違反の疑いで山形市の無職淀川聖司被告(30=殺人未遂罪で起訴)を再逮捕した。

 淀川被告は今年1月に仙台市内で女子高生の下着を盗撮した県迷惑行為防止条例違反罪(盗撮)の罪で起訴され、先月16日、仙台地裁で開かれた判決公判で懲役1年の実刑判決が下されると「この腐った司法制度がっ!」などと暴れだした。両手に刃物を持って傍聴席に向かい、取り押さえようとした男性警察官2人の腹や顔を切り付けた疑いで逮捕、起訴された。

「退廷させられた興奮状態の被告と、社会科見学で高裁に来ていた小学生の集団が鉢合わせしたらしいのです。職員が誘導したとは聞きましたけど、保釈中とはいえ人を切り付けたばかりの刑事被告人が小学生の列と行き交うなんて考えただけで恐ろしいですよ」(小学生を持つ母親)。仙台地裁によると「もともと暴力団の抗争事案など、被告人と傍聴人の関係性が危険な場合などに限って所持品検査を実施していた。事件を受けて最高裁からの通達もあり、職員の巡回警備を強化し在宅や保釈中の被告人に関しては、金属探知機で所持品検査を徹底している」。

 法廷内への凶器の持ち込み事件は、今年2月に大阪地裁で開かれた裁判員裁判で、殺人未遂事件の被告人として出廷した被告の女(21)が、刃物を所持しており、銃刀法違反の罪に問われ懲役6月(求刑懲役10月)の実刑判決が下された。

 現在、裁判所玄関口で法曹関係以外の来庁者に対して金属探知機による検査を実施しているのは東京地裁・高裁など全国4か所だけ。弁護士が担当する民事裁判に敗訴した直後、東京地裁のトイレットペーパーに火を付けた事件もあったばかり。さらなる防犯対策が必要だ。