老夫婦が生きられない日本

2013年01月10日 16時00分

 大みそかに高齢夫婦が死亡した事件が2つ確認されている。一つは心中で、福岡県久留米市のアパートで夫(69)が風呂場で首をつり、妻(75)が寝室の布団の中で死亡していた事件。親族の男性(61)が見つけた。もう一つは後追い自殺とみられ、東京都八王子市内の自宅で夫(81)と妻(70)が死亡しているのを長女(41)が発見した事件だ。

 八王子署によると、男性は風呂場の浴槽内で死亡していた。胃と肺に水が入っていたことから、入浴中に発作を起こしてそのまま溺死したとみられる。妻は寝室でスーパーのビニール袋をかぶっていた。夫の死に絶望して、後を追ったとみられる。同署では事件性はないとしている。長女は別居していたが、頻繁に両親宅を訪れて世話をしていた。12月27日には電話で2人と話したばかりだった。体力のある者がビニール袋をかぶって自殺する場合、首に絞めた跡が残るが、妻にはその跡がなかった。同署は「高齢者の場合、力が弱くてきつく絞めなくても、かぶった袋の中に吐いた二酸化炭素が充満することで意識を失い死に至る」と説明。

 老夫婦、高齢者の孤独死、自殺は全国的に増えている。八王子署管内だけでも「1日1体」は変死者が出ているという。意外なのは、親族が死亡を発見するケースが全体の3割に満たないことだ。「今では隣近所の連携も難しい。高齢の親を世話するために一緒に住みたいと思っても、経済的に困難な状況となる子供もたくさんいる」(同署副署長)。老老介護問題はいわれて久しいが、介護サービスの充実など、安心して誰でも介護を受けられる時代になってほしいものだ。