東京・六本木で「ケバブ食べよ」などと声を掛け、客引きをしたとして警視庁麻布署は21日、風営法違反の疑いで、埼玉県川口市のケバブ店従業員イシ・メメット容疑者(24)らトルコ国籍の男2人を逮捕した。

 同署によると、同法でレストランの客引き行為を摘発するのは全国初。他に逮捕されたのはメメット容疑者の弟で別のケバブ店従業員イシ・ジョシィクン容疑者(20)。

 逮捕容疑は5~6月、店近くの路上で通行人の男性に「トルコビール1杯飲もうよ」「ケバブ食べよ」などと声を掛け、客引きした疑い。調べにメメット容疑者は容疑を一部否認。ジョシィクン容疑者も「身に覚えがない」と話している。

 全国どこでも、店舗であろうが、移動車であろうが、ケバブ販売者は大声で「おいしいケバブ」などと声掛けしている。同店もボッタクリなわけではなく、数百円。なぜ、逮捕されたのか。

 六本木黒服は「六本木交差点の四角のうち、3丁目・東南の角からドン・キホーテまで(事件現場含む)は、今や“ケバブストリート”と呼ばれています。すぐそばに4軒ものケバブ屋が並び、1軒につき客引きが3人くらいいるので、ただでさえ狭い歩道がより狭くなり、クレームが多かったのは事実。あまりの苦情に麻布署も動かざるを得ず、見せしめに一番目立っていた兄弟を狙ったのでしょう」と語る。

 麻布署によると、2人はクルド系トルコ人。いずれの店も六本木3丁目にあり、2人の兄が経営している。両店舗の間にある別の店はクルド系トルコ人と対立するトルコ人が経営しており、客引きが過熱。通行人との間でトラブルが相次ぎ、2015年以降、口論やけんかなどに関する110番は27件に上った。

 前出の黒服は「日本で飲んだ帰りにラーメンでシメるという文化があるように、トルコでは飲んだ帰りのシメに食べるのはケバブ。彼らからしたら、酔っ払った日本人がシメになぜケバブを買わないのか、意味が分からないそうです。いつも、親しみを込めて客引きしてましたし、本当に悪気はないと思われますよ」と話している。