大阪府警天満署は13日、大阪・北新地の6階建て雑居ビル5階のエステ店に侵入して現金を盗んだとして、住所不定、無職の当(あたり)正次郎容疑者(59=窃盗罪などで公判中)を窃盗などの疑いで逮捕、送検したと発表した。

 当容疑者は3月13日深夜から翌朝にかけて、大阪市北区曽根崎新地の6階建て雑居ビル(高さ約20メートル)屋上から隣接するビルに飛び移り、雨どいを利用して5階のエステ店のベランダに移動。窓を割って侵入し、現金約28万円とデジカメなど5点を盗んだ疑い。容疑を認めているという。

 また、同容疑者は2月8日から3月21日に、大阪市や豊中市、京都市などで前出の事件を含めて計23件の窃盗を繰り返しており、そのうち18件が同署と曽根崎署の管内に集中していた。同署は「雑居ビルのベランダ側から侵入して、窓ガラスを割って店内に入り物色するというのが基本的な手口だった」ことからこれらを解明した。

 それにしても、高さ約20メートルのビルを飛び移るとは、まるで忍者や人気漫画「ルパン三世」「キャッツ・アイ」さながらだが、捜査関係者は「以前に鳶の仕事などをして技術や技能を持っているという素性の者ではない。頑健だとか身体的な要素が卓越してるわけでもない普通の59歳です」。

 被害のあったビルと隣のビルは、5階まではベランダがせり出しているため間隔が狭いが、6階にはベランダがなく、ちょっとした距離がある。それでも「新地のビルは非常に間隔も狭いので、そんな大層なもんでもないですよ。忍者技を使うようなとこでもないです」と驚いた様子もない。

 意外な感も受けるが、「盗みを稼業としているような人間には『どこから入ったんだろう』とビックリするような侵入方法を取る者もいる。今回が特別な侵入方法でもないですよ」と明かした。

 過去には、38階建ての高層ビルの屋上からロープを使い、最上階の部屋のベランダに侵入し、約3500万円を盗んだ泥棒がいた。マンション外壁の雨どいを伝って13階まで登った泥棒もいた。