大坂容疑者逮捕で浮上「中核派」驚きの実態

2017年06月08日 17時00分

 あの過激派は今――。1971年の渋谷暴動事件で殺人など5つの容疑で警視庁に指名手配されていた左翼過激派「中核派」の活動家・大坂正明容疑者(67)とみられる別件逮捕の男が大阪府警のDNA検査で本人と特定され、7日に警視庁に殺人などの疑いで再逮捕された。人生の大半を逃げることに費やしてきた大坂容疑者と、同容疑者をかくまってきた中核派の実態は…。

 大坂容疑者とみられる男は5月18日、潜伏先の広島市内で大阪府警に公務執行妨害の疑いで逮捕された。今月6日、DNA鑑定の結果を受けて府警は男を大坂容疑者本人と特定。警視庁公安部は7日に殺人などの疑いで再逮捕し、身柄を東京に移送した。

 渋谷暴動事件は71年11月14日に発生。東京・渋谷で沖縄返還協定に反対するデモに参加していた大坂容疑者は、現場で警備に当たっていた新潟県警の中村恒雄巡査(21=当時)を仲間と一緒に火炎瓶などで襲い、殺害するなどした疑いが持たれている。

 46年に及ぶ逃亡生活の末に捕まった大坂容疑者は、待ち構える報道陣の前に白髪で老いた姿をさらした。手配写真と並べても、本人と判断するのは困難だ。そんな“過激派のスター”を守ってきた中核派の根幹はテロ集団であり、スパイ集団でもある。

 朝日新聞の報道によると、かくまわれていた都内のアジトから、警視総監や警察庁長官の経験者ら100人前後の私用携帯電話の番号リストなどが見つかったという。警察トップの個人情報まで手に入れる情報収集力は注目に値する。

 元警視庁刑事で犯罪心理学者の北芝健氏は「中核派は下火になっているとはいえ、資金力があり、殺し屋部隊『糾殺隊』もまだ存在している。情報収集も得意」と説明する。

 情報収集活動としては「警察のデジタル無線を傍受していた」「溶ける紙や暗号を使っていた」などの報道もある。

 北芝氏は「デジタル無線の傍受なんてお茶の子さいさい。メンバーの中には京大クラスの理系出身者がゴロゴロいて、ITなどのスキルも十分に有している。溶ける特殊紙は英国のMI6など世界中のスパイ機関で使用されている。中核派は欲しい物はなんでも入手できる」と解説する。

 また、「かつて革マル派(左翼過激派)の拠点から公安警察官の家の鍵が200本見つかったこともあった。尾行されて自宅住所を割られるのは、警察官にとって非常に不名誉なことです。『自宅がバレた』と分かっても、上層部に報告しない者もいたでしょう。それにしてもキャリア警察官の情報が入手されていたのは警察組織にとってもショックでしょうね」とも。

 漏れていた連絡先は、一体どのように入手したのか。
「公安内部に中核派のシンパはいないはず。公安関係者の知人や家族から情報を入手していたと思われます」(同)

 そのやり口の一つがサークル活動だという。

「料理同好会や自己啓発セミナーに見せかけて人を集めます。入会させた相手の中から脈のありそうな人をセクトに引きずり込み、情報を引き出すのです」(同)

 活動家の魔の手は一般人の生活圏内に間違いなく届く。メンバーは“人たらし”の極意も身につけている。

「大学の講師や准教授らが『合宿する』と称して、実はセクトの訓練に参加していることがあります。ここでは戦闘技術のほか、諜報活動の知識も伝授されるのです」と北芝氏。

 大坂容疑者の逮捕は、中核派にとって大打撃を与えるだろう。

 北芝氏は「特に資金提供者や支援者は戦々恐々としているはず。大坂は組織のすべてを知っています。警察に口を割れば、芋づる式の逮捕もあり得ますからね。中核派は高齢化が進んでおり、いかにすごい闘士といわれた者でも、病気を持って弱っているはず。相手の弱点を知り尽くした“落としのプロ”が語らせるはずです」と指摘した。