とんだ場所で現金盗難事件が発生した。現場となったのはなんと広島中央警察署内。詐欺事件の証拠品として金庫に保管していた現金8572万円が盗まれたのだ。

 県警によると8日午後8時ごろ、同署員が現金がなくなっているのを発見。「捜査に支障がある」として保管状況や管理態勢については明らかにしていないが、山田博実副署長は「警察の施設内で盗難事件が発生したことは誠に遺憾。捜査を尽くして真相究明に努めたい」とコメントした。

 県警は内部犯行の可能性もあるとみて窃盗容疑で捜査しているが、そもそも警察署には24時間警察官がおり、一般人が金庫までたどりついて持ち出すなどなかなかできるとは思えないが…。

 実際、過去にも他の警察署内で署員による現金盗難事件が発生している。元警視庁刑事で犯罪心理学者の北芝健氏は「証拠品については厳重に保管しており、部外者が保管庫に近付いて扉を開けるのは原則不可能にしている。99%以上、内部犯行でしょう」と断言する。

「証拠品の分析は携わった担当者にしか分からない。今回の場合、詐欺事件を認知し、そこに証拠品として8500万円の現金があるという2つの知識がないと、保管庫を開けることもないだろう。知りうるのは宿直員と所轄の知能犯担当の警部。そこから報告を受けるトップの刑事課長ないし刑事組対課長で5人くらい。副署長ですら報告を受けていない可能性もある」

 誰による犯行であれ、署内で起きた証拠品紛失は大不祥事。「担当者が極めて少ないので、すぐに判明するのでは。頭をかきながら『別の場所で保管してました』なんて言ってくるかも」と北芝氏は推測した。果たして大金はどこに?