韓国検察は17日、サムスングループとロッテグループからそれぞれ巨額の賄賂を受け取ったとの収賄罪などで前大統領、朴槿恵(パク・クネ)容疑者(65)を起訴した。また、朴被告に対する贈賄罪で、ロッテグループの重光昭夫(韓国名・辛東彬=シン・ドンビン)会長(62)を在宅起訴し、朴被告の親友、崔順実(チェ・スンシル)被告(60)の国政介入発覚に端を発した一連の事件捜査を終えた。

 朴被告が起訴された内容は計18件に及び、賄賂の額はサムスンの拠出約束分と韓国財閥3位のSKグループへの要求額まで加えれば約592億ウォン(約56億円)に達する。韓国で大統領経験者の逮捕・起訴は1995年の盧泰愚(ノ・テウ)氏、全斗煥(チョン・ドゥファン)氏以来で3人目。

 起訴内容は(1)崔被告と共謀したサムスンからの約298億ウォンの収賄(2)ロッテからの約70億ウォンの収賄(3)SKへの賄賂要求のほか、複数の大企業に資金拠出を要求し計約774億ウォンを受け取った強要や職権乱用など。

 検察は3月31日に朴被告を逮捕。ソウル郊外の拘置所に収容された朴被告は、全ての起訴内容を否認しているもようだ。朴被告の収賄行為には高額賄賂犯罪の処罰規定が適用され、有罪なら懲役10年以上、最高無期懲役の重刑となる。関連法の規定で、一審判決は10月中旬までに言い渡される見通し。

 過去に立件された大統領では、盧氏は懲役17年、全氏は無期懲役の判決が確定したが、いずれも後に特赦となった。

 もし朴被告が実刑になり、特赦がなければ、韓国人にとって最も恐ろしい目に遭うという。

 韓国事情通は「儒教国家の韓国では、何よりも墓が大切にされます。歴代大統領は死後、“英雄”として国立墓地に埋葬されてきました。しかし、自殺して、私設墓地に埋葬された盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領は、その墓石に糞尿をかけられるという嫌がらせを受けました。独身で死後、チェサ(法事)をしてくれる子がいない朴被告にとって、国立墓地に入れないことは、儒教的には死後の安泰を奪われるということです」と指摘している。