あの忌まわしい事件が再び!? 兵庫県神戸市の市立中学校で9日、敷地内の木の枝にカラスの頭部が刺された状態で発見されるという不気味で残忍な事件が発生した。兵庫県警須磨署が何者かが切断した頭部を刺したとみて建造物侵入などの疑いで調べている。この中学校が20年前、1997年に起きた「連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇事件)」で、殺害された児童の頭部が置かれた学校だったことから、周辺では衝撃が広がっている。

 現場となった中学校で9日午後0時40分ごろ、男子生徒が体育館裏の木の枝の先端にカラスの頭部が刺さっているのを発見。すぐさま校長を通じて須磨署に通報した。

 須磨暑の副署長は「カラスの頭部の切断面は真っすぐだったので、刃物か何かで人為的に切断したものを木の枝に刺したとみて捜査しています。周囲には小学校や幼稚園も多いので、再発防止に向けて警備態勢を強化しています」と話す。

 付近に血痕やカラスの胴体はなく、何者かが別の場所で切断し、持ち込んだ可能性が高いとみられる。学校関係者によると「発見した日は春休み中でしたが、運動部の練習試合があったので外部の人でも学校の敷地内に入れる状態でした」。

 この中学校は、20年前に世間に衝撃を与えた連続児童殺傷事件で、正門に児童の遺体の頭部が置かれた学校だ。逮捕された「酒鬼薔薇聖斗」こと少年Aはこの学校の生徒でもあった。当時の忌まわしい記憶をよみがえらせる猟奇的な犯行に近隣の人たちは不安に陥っている。

 元警視庁刑事で犯罪心理学者の北芝健氏は「少年Aも児童に手をかける前に、猫などの小動物を殺しており、酷似している。模倣というよりは、同じように殺害行為に快楽を覚える人間の犯行でしょう」と話す。

 北芝氏によると、鳥や小動物を快楽目的で殺害する犯人は、一気にエスカレートしていく傾向があるという。

「快楽殺人者は殺害を行う時に、脳内にドーパミンが出て満足感を得ますが、同じ行為では満たされなくなるため、エスカレートしていくのです。今回の犯人がすぐに次の犯行に出る可能性は十分にあり、他の小動物や人間に手をかけようとすることも考えられます」

 犯人像について北芝氏は「自分の犯行でどのような報いを受けるか予測できない、未熟なティーンエージャー世代ではないか。実生活で不満を持つ者でしょう」と推測する。

 今回の事件と酒鬼薔薇事件の発見現場が同じ中学校であることに関係性はあるのか。

「世間を驚かせ、センセーショナルな反応が見たいという犯人の心理の表れです。快楽殺人者にとって遺体は戦利品で、人目にさらして満足感を得るのです。酒鬼薔薇のような有名な殺人鬼は、犯行が残虐であればあるほど一部の反社会的な人たちから熱狂的にあがめられており、今回の事件の犯人も大なり小なり影響を受けていると考えられます」(北芝氏)

 元少年Aは2015年に手記を出版し、ホームページ(現在は閉鎖)まで開設したことで多くの人たちの嫌悪感を招いたが、一部でAに共感する“信者”と呼ばれる人たちがいると言われている。

 さらなる残虐な行為が繰り返されないことを祈るばかりだ。