【ベトナム女児殺害】事件の背景に地域高齢化の死角

2017年03月28日 17時45分

遺体が発見された現場

 千葉県我孫子市の草むらから、26日に少女の全裸遺体が見つかった事件で県警捜査本部は、死因を窒息死の可能性が高いと発表した。無残な姿で発見された松戸市の小学3年生、ベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンさん(9)の遺体は司法解剖され、首を絞められた痕だけでなく、顔には殴られたような痕もあったと捜査本部は27日に明かした。暴行され絞殺されたリンさんは、登校時間に連れ去られたとみられているが、現地取材から見えてきたのは、周辺地域の高齢化が生んだ多くの“死角”だ。

 リンさんは24日午前8時ごろ、小学校の修了式のため自宅を出たのを父親(34)が確認したのを最後に、学校には登校しておらず行方が分からなくなっていた。

 自宅の防犯カメラには24日午前8時ごろ、グレーのパーカにピンクのズボン姿のリンさんが元気に登校する姿が写っていた。だがその後、通学路周辺の複数の防犯カメラには写っておらず、見守り活動をしていた住民も姿を見ていなかった。

 リンさんの家は袋小路の一角にあり「住民のマイカー以外は、ほとんど車は通らない」が、目の前の道が近くの総合病院に続いており、不特定多数の人通りがあった。

「外来受け付けが朝8時からで、リンちゃんの登校時間には、かなり人目もあったはず」と近隣住民は語る。逆に言えば、病院に行く人の流れに不審者が交じっていても認知しづらい。自宅に表札は出ていないものの、補助輪付きの赤い自転車があり女児のいる家庭だと容易に想像がつく。

「風呂場の窓を開けていて、よく子供たちの声が聞こえてきた」(近隣住民)といい、すだれで中は見えないが、女児がいることは分かりやすかった。地元関係者によると「1か月前から自転車の男に付け狙われていた」という話も出ている。犯人がリンさんを見かけてストーカー行為をしていた可能性はある。

 リンさんは24日朝に見守り活動をしていた住人に姿を確認されていないことから、自宅からわずか300メートル以内の場所で連れ去られた可能性が高い。自宅前の道路をはずれると、一気に人けのない通りに入る。自宅から約100メートル地点の通学路は右に梨園、左に工事関係のプレハブ小屋がある細い道で、人目はほとんどない。この細道を抜けて住宅街に出ると、空き家も散見される。

「この辺は老夫婦の住む家が多くて、リンちゃんも同級生が近所にいないから1人で登校していたみたい。それに、見守り活動も個人の有志に頼っている状態で組織化されてないんです」(住民)

 空き家は監禁に使われることもあり、それがあること自体危険だ。

 近くを走る県道8号を北上すれば遺棄現場の我孫子市北新田沿いの国道6号にぶつかる。地域の高齢化が生んだ様々な“死角”がリンさんと犯人を結びつけてしまったのだろうか。