北朝鮮の金正男氏(45)がマレーシアの空港で殺害された事件で、マレーシアと北朝鮮が国交断絶となりかねない緊張状態に陥っている。北朝鮮はマレーシア当局による正男氏殺害の捜査を「政治的な目的がある」と批判。あくまで正男氏と認めないまま、遺体の即時引き渡しを要求している。

 北朝鮮とは友好関係にあったマレーシアだが、今回の批判と強硬な姿勢には猛反発。政府筋は23日、北朝鮮側が批判をやめなければ、平壌のマレーシア大使館の閉鎖や駐マレーシア北朝鮮大使を追放する可能性もあるという。さらに犯行に関与した疑いがある北朝鮮大使館のヒョン・グァンソン2等書記官(44)と北朝鮮国営高麗航空のキム・ウクイル職員(37)が、在マレーシアの大使館にかくまわれている可能性がある。マレーシアのカリド警察長官はキム職員が聴取に応じなければ、逮捕状請求などの法的措置を取るとし、不逮捕特権があるヒョン書記官にもなんらかの措置を取りたい構えだ。

 またマレーシアのナズリ観光・文化相は北朝鮮を“ならず者国家”と批判。北朝鮮とマレーシアはビザなしで渡航できるが「マレーシア人に北朝鮮訪問は勧めない。彼らは何をするか分からない」と発言するなど、両国の関係は悪化の一途をたどっている。