連続昏睡強盗の容疑で逮捕された“声優のアイコ”こと神いっき被告(33)の被告人質問が31日、東京地裁(石井俊和裁判長)で行われた。

 女性に生まれた神被告は、性別違和から普段は男性の姿で生活していたが、犯行時だけ“女装”し、男性に睡眠薬入りの酒を飲ませて金品を奪ったとして、5件の昏睡強盗の罪に問われている。

 客観証拠から神被告の犯行に間違いないが、解離性同一性障害による別人格の出現時だったとして、責任能力の有無を争っている。これまでの裁判で4歳児「ゲンキ君」に豹変して突然、幼児言葉になったことがあるほか、今回「アイコ」をかたって昏睡強盗を働いた「ミサキ」の人格や、「コウジ」というコワモテの人格もあると主張している。

 別人格の出現時には記憶が全くないといい、東京・荻窪の事件では「夜8時ごろ、男女5~6人のグループと意気投合して飲んでいるうちに記憶をなくし、気づくと一人で歩道橋で寝ていた。次に記憶が戻ったのが(翌日の)ランチ時の回転ずし屋で、知らないおばちゃんと仲良くなっていた」という具合だ。

「記憶がなくなるのをいつもアルコールのせいにして、僕の中にいろんな人格があることを気づけないような生活を送ってきたことが悔しい」と酒浸りの日々を後悔。

 2014年末に拘置所で出産し、施設に預けている我が子については「ただの前科者の親というだけじゃなく、どうやってつくられた子かも分からないし、俺が望んでいた子じゃなかったってネット社会だから分かる。だったら、ずっと施設で育ったほうがあいつのためかな。俺も親がいなけりゃラクだと思うことが、いっぱいあったから…。ゴメン、(傍聴席に)母ちゃんいるのに…」と涙ながらに複雑な思いを明かした。

 公判でもさまざまなキャラになる神被告を検察側は多重人格を装う詐病と見ているが、子を思う気持ちは“母親”としての本心なのだろうか?