生活保護受給者の支援をする神奈川県小田原市生活支援課のケースワーカーが「不正受給者はクズ」などとプリントされたジャンパーを着て、保護世帯を訪問していたことが17日、分かった。生活保護問題に取り組む人々をあぜんとさせたが、こうした事態の背景には何があるのか。

 ジャンパーの胸には漢字の「悪」を描いたエンブレムと「HOGO NAMENNA(保護なめんな)」の文字。背中には「不正を発見した場合は追及し指導する」「不正受給者はクズ」などと英語で書かれていた。

 ジャンパーは2007年、生活保護の受給資格を失った男が小田原市役所で職員をカッターナイフで切りつける事件が起きたのを機に、当時の係長の発案でこれまでに64着が作られた。1着4400円。職員によると「士気を高めるために、自費で作った」という。

 市は「不適切だった」として着用を禁止。加藤憲一市長は「配慮を欠いた表現。市民に誤解を与えることのないよう指導を徹底したい」と謝罪し、課長ら7人を厳重注意処分とした。

 本当に困窮している人を威圧することになるとして批判されるのは当然だが、一方で“モンスター受給者”が増加しているのも事実だ。

 京都府警右京署はこの日、生活保護費約107万円を不正受給した詐欺容疑で、韓国籍の無職・呂敏子容疑者(55)を逮捕した。生活保護申請後、偽名を使ってクリーニング店で働き、収入を得ていたにもかかわらず、保護費107万円をだまし取った疑いが持たれている。

 暴力団になると、もっとエゲツない。区役所勤務の男性は「医者にニセの診断書を書かせ、障害者手当と生活保護費をダブル取りしている。ホームレスを集めて生活保護を申請させ、衣食住の面倒を見る代わりに保護費の8割を搾取するヤカラもいる。アパート経営者の家賃収入と同じ感覚。ケースワーカーの数が圧倒的に足りないから、やりたい放題だ」と嘆く。

 厚生労働省によると、全国で生活保護を受けている家庭は昨年10月時点で前月よりも964世帯多い163万7866世帯で、3か月連続で過去最多を更新。受給者数は355人減の214万4759人だった。