講談社の人気漫画編集者の殺人容疑逮捕から一夜明け、新事実が次々と明らかになっている。妻の佳菜子さん(38)殺害容疑で逮捕された編集次長の朴鐘顕(パク・チョンヒョン)容疑者(41)が、3年ほど前から日常的に家庭内暴力(DV)を働いていた疑惑が浮上。昨年8月の事件当日も佳菜子さんと口論になり「ヘッドロックをかけた」と供述しているというが、一部でノド元を絞める“チョークスリーパー説”が持ち上がった。また、妻が不信感を募らせた2年前のある出来事も判明。読者の女性を“ツイッターナンパ”していた疑惑が浮上した。

 一貫して妻殺害の容疑を否認してきた朴容疑者は、調べに黙秘しているという。同容疑者の描くシナリオに狂いが生じてきたためともみられる。

 昨年8月9日未明、佳菜子さんは自宅玄関先で倒れているのが発見された。当初、朴容疑者は「階段から妻が転落した」と説明していたが、司法解剖の結果、首に絞められたような痕跡があることがわかると、一転し「妻は私のジャケットを階段の手すりにくくりつけ、首をつった」と供述を変えた。

 しかし、ジャケットから佳菜子さんの皮膚片などは確認されず。自宅の構造上、手すりを利用して首をつるのは不可能であることもわかった。

 さらに1階の寝室からは佳菜子さんの血痕と尿の成分を検出。倒れていた玄関先でも同じ成分が検出されていることから、朴容疑者が寝室で佳菜子さんを絞殺した後、自殺に見せかけるために階段から突き落としたとみられる。「容疑者の二転三転する供述内容を検証・再現し、物理的に不可能であることを突きつけている。黙秘し始めたのは万策尽きたからでは?“完落ち”は近いと思う」と捜査関係者。

「イクメン」と呼ばれていた同容疑者の化けの皮もはがれた。

 講談社の男性社員で初の育児休暇を取得するなど、4人の子供を溺愛してきたとされたが、事件前日に佳菜子さんは「4人の子供で忙しい」「自分の時間がない」と朴容疑者に電話やメールで伝え、これに「対応します」と素っ気なく返信していたことも判明した。

 また、DV疑惑も浮上した。佳菜子さんは3年ほど前に文京区子ども家庭支援センターに駆け込み「夫に髪をわしづかみされた」などと相談。同容疑者は逮捕前の任意の事情聴取に「育児をめぐって夫婦げんかになり、もみ合いになってヘッドロックした。その後、気が付いたら自殺していた」と説明していた。

 同僚社員は「いつも温厚な彼がDVなんて全く想像もできない」と声を揃えたが、捜査関係者からは「佳菜子さんの死因は窒息死。首には強い力がかかった時にできる内出血の痕があった。ヘッドロックではなくノド元を絞め上げるチョークスリーパーではないか?」と指摘する声もある。

 ここ数年、佳菜子さんが育児ノイローゼ状態だったことは本紙昨報の通り。加えて、2年前には妻の不信感を募らせたある出来事があったと、関係者は語る。

「朴さんがツイッター上で、若い女性を“サシ”で食事に誘っていることがバレたんです。表向きは彼が担当する漫画のファンと交流を持ち、忌憚(きたん)のない意見を聞くことで、今後の仕事に役立てるというものでしたが、なぜか選ばれるのは年下の女性ばかり。わざわざ食事に連れ出さずとも、今の時代はSNSもあるのに、別の狙いがあるんじゃないか…と勘繰られても仕方がありません」

 これまでも朴容疑者はツイッターで「眠い!セックスしたい!」などとつぶやくことがあった。同僚男性は「あれはSNS上で目立とうとするための彼のネタ」とフォローするが、これを見た佳菜子さんの胸中は穏やかではなかっただろう。

「結局、朴さんはツイッター上で謝罪するハメになりました。奥さんにもおきゅうを据えられたとか。あの一件以来、(妻の)束縛が一段と厳しくなったそうですよ」(同)

 一方、朴容疑者が在籍する講談社「モーニング」編集長は11日、ホームページ上で読者向けにコメントを発表した。

「逮捕によって世間をお騒がせし、読者の皆さまにもご心配をおかけしましたこと心よりお詫び申し上げます。本人は無実を主張しておりますので、捜査の推移を見守りつつ、社としても編集部としても慎重に対処してまいります」とした。

 そのうえで「一部メディアの報道では『進撃の巨人』の立ち上げ担当とありますが、これは事実ではありません。本人が『進撃の巨人』を担当したことはなく、正確には『掲載誌の創刊スタッフ』であったことをお知らせいたします」と、ヒット作と関連づけて強調される報道を否定した。