これでウチの娘を守れる!? 今年5月に東京都小金井市のライブ会場でアイドルがファンの男に刺された事件を受けて、今国会で改正ストーカー規制法が成立する見込みだ。現行法では特定の個人のSNSやブログに執拗に書き込みをしても規制対象外だが、実際には面識ない人同士でもじかにメッセージを送受できる会員制交流サイト(SNS)のダイレクトメッセージ(DM)機能は、ナンパや嫌がらせなどの悪用が目立つ。改正法で、どこまで歯止めがかかるのか?

 改正ストーカー規制法は、後を絶たないインターネット上の付きまといを防ぐため、SNSでDMを連続して送信することや、特定の人のブログに執拗に書き込みをすることを規制対象に加えるのが柱だ。

 これまでは電話やファクス、メールといった付きまといの手段を列記していたため、新たな通信手段が普及すると対応できない問題があったが、この改正で、電気通信機器を使った「ネットストーカー」にも広く網を掛けられるようになる。

 また、現行法では被害者を迅速に保護できないのが問題点だが、改正法では緊急時には事前に警告がなくても付きまとい禁止命令を出せるほか、懲役刑の上限を「6か月以下」から「1年以下」に引き上げ、報復を恐れて告発をためらうことがないように非親告罪に変更される。

 過去に、ネットナンパで知り合った成人女性に対し、女性本人の裸の写真を複数回、郵送してストーカー規制法違反容疑で逮捕され、不起訴処分になった男性A氏(40代)は「殺人や傷害事件まで起きているので法改正が望まれるのは理解できるが、誤認逮捕や起訴されるほどでもないことで逮捕されかねない」と指摘する。

 そんなA氏が世間に向けて「あなたたちの娘には、こんなDMが送られてますよ。引っ掛からないように」という反面教師としてネットナンパの手法を明かした。

「知り合いのミスコンマニアは、地方大に通うミスコン出場者に『いま○○県まで来ちゃいました! 会えませんか?』とダイレクトメッセージを送ったりする。露出機会の多い素人は必ずSNSから大学、行きつけの美容院など生活圏を把握できる。ただし、改正法で、目の前に現れなくてもこれだけでストーカー判定される可能性がある」

 近年はSNSで見知らぬ人とも簡単につながるようになり、民間団体の調査では中高生を中心にネットストーカーの被害相談が急増している。このため、国会で改正の議論が進んだ。

「私は都内のお嬢様女子中高が好みで、そこの子ばかりネットナンパしているが、非親告罪になれば学校が把握して通報されたら一発アウト。ナンパの“入り口”は『近くに住んでいます』とか『朝よくお見かけします』とかで数打てば返信もいくらかあり、実際に会える子もいる。でも今後は捕まる可能性もある」とA氏。

 娘たちを狙うネットナンパ師も改正法で当面は自粛に向かいそうだが、今後、法の網をかいくぐる新たな手口を考え出すかもしれない。