相次ぐ液体かけ事件 奈良の文化財が狙われやすい理由

2016年11月23日 17時00分

 奈良県の寺社で、国宝などに液体がかけられる事件が相次いでいる。

 奈良市の興福寺では20日、千手観音菩薩立像の台座など国宝4点を含む計7点に液体がかけられているのが見つかった。同寺の防犯カメラには、帽子をかぶり、リュックサックを背負った男が、液体をかけるような動きをしている姿が写っていた。

 奈良県内の寺社では21日、東大寺(奈良市)と橿原神宮(橿原市)でも液体がかけられる被害が確認された。昨年4~5月、全国各地の寺社で油などがまかれる事件があったが、奈良県内の寺社の被害件数が最も多かった。

 奈良は京都に全く見劣りせず、歴史的に見ても、より古い建造物が多い。観光客数は京都より少ない。ではなぜ、奈良の文化財の多くが被害に遭うのか。

「興福寺の有名な阿修羅像は、(像との)間に赤外線のセンサーは通ってますけど、アクリル板もガラスもない状態で見学できるんです。奈良には宝物をしまい込むことなく、同じ空気の中で身近に感じられるお寺が多い。素晴らしいことなのですが、逆にいえば、液体をかけやすいというようなことにつながってる可能性はあるかも」(前出関係者)

 また、奈良は京都に比べるとホテルなどの宿泊施設が少なく、近隣の大阪などから足を延ばす観光客が多い。奈良県在住の男性も「京都は夜でも市街地には人がたくさんいるけど、奈良は夜になると少ない」と話す。人目の少なさは、屋外の神社の柱などへ液体をかけやすい状況になる。

 前出の関係者は「こうしたことが続いて、警備が強化されてしまうことで、文化財が身近に触れられないような環境になると悲しい」と嘆いている。