韓国・朴政権の命運握る金正恩氏 「暴走」してくれれば…

2016年11月09日 07時05分

 韓国の朴槿恵大統領(64)は7日、韓光玉大統領秘書室長を通じて、次期首相人事について3野党に会談を申し入れたが、拒否された。聯合ニュースが伝えた。朴氏の親友、崔順実容疑者(60)による国政介入疑惑で政権批判が高まる中、朴氏は野党系の金秉準氏を新首相に起用することで局面転換を図ったが、行き詰まりは鮮明だ。懸念されるのは、韓国の政治空白を狙った北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の大暴走だ。まさかの事態が起こりかねない――。

 朴氏に対しては、与党セヌリ党内からも離党要求が出ており、朴氏は一層の窮地に立たされた。

 セヌリ党の金武星前代表は7日、記者会見して「国民が委任した大統領が、崔順実(容疑者)らの不当な利益追求に利用された」と朴氏を批判し、離党を要求した。

 金前代表は「党の支持基盤である保守層の壊滅を防がねばならない」と強調。聯合ニュースによると会見後、記者団に「大統領より党の方が大事」とも語ったという。

 朴氏は7日、キリスト教関係者らと面会し、事態収拾策について意見を求めた。もともと崔容疑者の父で、新興宗教を主宰した故崔太敏氏と極めて親密な関係だったとみられている朴氏。大統領府によると、朴氏は面会で「(自身が傾倒しているとの)えせ宗教に関するうわさは事実ではない」と強調した。

 韓国の世論調査機関は7日、10月31日~11日4日に実施した週間調査の結果を発表。朴氏の支持率は11・5%と、週単位の結果としては最低を更新した。朴政権がここまで弱体化しているのに加え、韓国を支える米国では8日に大統領選が行われ、来年1月に新大統領が就任するまではこちらも政治空白が生まれる。この間隙を突いて、北朝鮮が軍事侵攻する可能性も指摘されているが…。

 拓殖大学客員研究員で元韓国国防省北朝鮮分析官の高永チョル氏は「12日には、大掛かりな反政府デモも予定されている。朴政権が危機的状況にあるのは確かだが、このタイミングで北朝鮮が軍事攻撃に出れば保守右派政権への支持が一気に高まり朴政権の延命を助けることになる」とみる。

 そのためか、11月2~3日のうちに発射する準備が整っていたミサイルも今のところ、その気配はない。

「軍事挑発よりサイバーテロの方が現実的です。北朝鮮にはサイバー戦士が6000人もいる。ソフトウエア開発やハッキング技術は、CIAと同じくらいのハイレベル。機密情報を盗むほか、韓国人や日本人になりすましてIDを取得し慰安婦問題や竹島問題をあおって日韓の分断を図ったり、ネットの書き込みで親北派にしている」(高氏)

 混乱する韓国国内で、北の工作員が一気に作戦を展開する危険性はあるという。

「コリア・レポート」の辺真一編集長は「“ミサイル発射や6度目の核実験を指折り数えているのは朴槿恵だ”というブラックジョークもあるが、それを分かっていても、北朝鮮の狙いは韓国ではなくアメリカを交渉の場にひきずり出すことですから、軍事挑発をやめないだろう」とみる。

 グアムを標的にした中距離弾道ミサイル、米国本土に向けた長距離弾道ミサイルの発射、核実験、12月17日の故金正日総書記の命日には長距離弾道ミサイルテポドン発射の可能性もある。

 仮に北朝鮮が示威行動のレベルを超え軍事衝突した場合どうなるのか。

「もし局地戦でも勃発した場合、朴槿恵は最高司令官ですからスキャンダルどころではなくなる。大韓航空機爆破事件の後の韓国大統領選で、保守派の盧泰愚大統領が逆転するなど歴史的に見ても“北風が吹けば保守政権が生き返る”のです」(高氏)

 どちらにせよ、朴槿恵政権“延命”のカギを握っているのが金正恩氏とは皮肉なものだ。