和歌山県和歌山市の建設会社「和大興業」で29日午前8時50分ごろ、男性従業員4人が拳銃で撃たれ、石山純副(じゅんすけ)さん(45)が死亡、43~46歳の3人が重傷を負う事件があった。

 県警によると、石山さんら4人は同社経営者の次男で元従業員の溝畑泰秀容疑者(45)と朝から話し合いをしており、その際に溝畑容疑者がかばんから拳銃を取り出し4人を撃ったという。

 県警は同容疑者が4人を撃った疑いが強まったとして逮捕状を取り、全国に指名手配し、行方を追っている。現場からは10発近い薬きょうが発見されているが拳銃はなく、容疑者が所持したまま逃走しているとみられる。午後3時前には、現場から約3キロ離れたJR和歌山駅近くの駐車場で、逃走に使ったとみられる車が見つかった。

 暴力団の抗争などではなく、会社内のトラブルの可能性が高い。周辺住民が「この辺りはヤクザの抗争なんてない。『アロチ(和歌山市の繁華街)』の方ならともかく、至って静かな住宅街」という場所だけに、今回の発砲事件は地域を震撼させた。

 溝畑容疑者と石山さんらとの話し合いの内容や、拳銃の入手ルートについては明らかになっていないが、容疑者を学生時代から知る近隣住民は「見た目がガッチリしてて、ヤンチャやったよ。でも、とんでもないワルってほどじゃないし、ヤクザと付き合ってるとか聞いたことはない。2~3年前まではよく見かけたけど、ここ1年は見てない。近所でモメてるところを見たことないし、こんなことになってビックリした」と語った。

 一方で、気になる証言もある。「和大興業」と以前、取引のあった建設会社で働いていたという男性は「兄貴の方はマジメな感じやったけど、弟は昔からヤンチャな印象。何度か警察に厄介になったってこともあるらしいし、拳銃もどこからか入手できたのかもしれない」。

 一刻も早い身柄確保と、全容の解明が待たれる。