【小6女児焼死事件】母ら再審無罪 今後の焦点は「国家賠償請求」の長い闘い

2016年08月12日 09時00分

 1995年に大阪市東住吉区で発生した住宅火災で小学6年生の青木めぐみさん(11=当時)が焼死し、現住建造物放火と殺人罪に問われ、無期懲役が確定していた母親の青木恵子さん(52)と、元同居相手の朴龍晧さん(50)の再審が10日に大阪地裁(西野吾一裁判長)で開かれ、2人に無罪が言い渡された。青木さんは今後、冤罪の補償として国家賠償請求訴訟を起こす方針で、朴さんは検討中という。

 21年前、自宅の火災のため入浴中だっためぐみさんが焼死した事件。逮捕当時、青木さん、朴さんともに計画的な放火殺人の容疑を認めていたが、その後一転し「自白は強要された」(青木さん)と否認に転じた。弁護側が冤罪を主張し、逮捕から20年たった昨年10月に再審が認められた。

 西野裁判長は「取り調べの最初から犯人扱いし、相当衰弱していた。過度の精神的圧迫を加え、虚偽の自白をせざるを得ない状況だった」と指摘。火災については弁護団による再現検証が行われており、「自然発火の可能性が現実的」(同裁判長)とした。

 今回の事件は、当時2人に200万円の借金があり、小学生のめぐみさんに1500万円もの保険金が掛けられていたことから、“保険金目当ての連れ子殺し”と騒がれた。また、朴さんは支援者にめぐみさんへの性的虐待を認めていた。

 冤罪の責任追及と補償を求めて今後、2人は国家賠償請求訴訟を起こす可能性がある。法曹関係者が語る。

「冤罪の補償金には刑事補償と国家賠償がありますが、身柄拘束された不利益に応じて支払われる刑事補償に比べ、国家賠償は請求を認められるためのハードルが高く、冤罪事件でもなかなか認定されるものではありません」

 刑事補償は1日当たり上限1万2500円と決められており、約20年間服役していた青木さんには最高額で約9125万円、国家賠償が認定されればさらに数千万円の補償金が支払われる見込みとなる。

 一方、国家賠償は相手側が捜査の非を認めなければ、法廷で争われる。捜査の違法性などが認められることが必要となり、原告側の主張が通るのは簡単ではない。

 ハードルが高い国家賠償だが、今回の場合は、強い心理的圧迫など不当な捜査や取り調べがあったことが裁判所で認められている。朴さんは大阪府警の取調官に首を絞められるなどの暴行を受けたほか、虚偽の目撃情報を告げられ自白を強要されたとされる。

 法曹関係者は「国家賠償が適用される可能性はあると思います。しかし国家賠償請求裁判には高額な費用と長い時間がかかるので、多くの冤罪被害者が請求を諦める」と指摘。今後も青木さんにとって長い闘いが続く可能性もある。