【障害者殺傷事件】植松容疑者の親類が胸中告白「知っている聖ではない」

2016年07月30日 07時00分

植松聖容疑者

 知的障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市)で重複障害者ばかり19人が殺害される戦後最も凄惨な殺りく事件で逮捕された元同施設職員の植松聖容疑者(26)が、緊急措置入院中の2月に「ヒトラー思想が2週間前に降りてきた」などと話していたことがわかった。本紙既報通り、植松容疑者のゆがんだ“選民思想”が裏付けられた形だ。同容疑者の親類は送検時の薄ら笑いを見て「異常性を感じた。知っている聖ではない」と苦しい胸中を本紙に語った。

 植松容疑者は、今年2月ごろから職場で「障害者は抹殺するべき」などと主張するようになり、同月15日には衆院議長宛てに障害者の殺害を予告する手紙を議長公邸で警備中の警察官に手渡した。それまでの入所者への虐待や入れ墨などの生活態度、勤務態度にも問題があったため、施設を事実上の“クビ”になった。

 その後の聴取にも「障害者を殺害する」などとブチまけたため他害の恐れがあるとされ、2月19日から精神科に措置入院。相模原市との面談に「自分はフリーメーソンの信者」「世界には10億人の障害者がいる。その人たちにお金を使っている。ほかに充てるべきだ」などとまくし立てたという。入院中の20日には「ヒトラー思想が2週間前に降りてきた」と自ら語ったという。本紙既報通り、ナチス・ドイツは障害者を「生きるに値しない生命」として、ユダヤ人や同性愛者とともに組織的に殺害した“選民思想”で知られる。

 大麻の陽性反応が出たため、こうした危険思想は「大麻精神病」の影響と診断されたが、その後、大麻の反応が消え「自分はどうかしていた」と反省の態度を見せるようになったため、医師の判断で3月2日には退院。だが、障害者への迫害意識は隠し持ったままだったようだ。

 福祉ジャーナリストは「教員を目指していたというが、教職と障害者施設はまるで違う。教育現場は教え子が成長していくが、重度障害者施設では入所者の成長を見て達成感を得ることは困難で給料も安い。また、家族の足が施設から遠のいているケースも多く感謝もされない。報われなさに失望したり、精神的に参って離職する人も本当に多い。教育現場のように“先生の言うことを聞け”が通じず、障害者に牙をむかれたような被害感情が憎悪に変わったのだろう」と指摘する。

 衆院議長に宛てた手紙には、障害者の“抹殺”は「日本国と世界平和のため」と書いた。施設で接した障害者だけでなくすべての障害者を“抹殺”の対象にした植松容疑者のゆがんだ“世直し計画”。今回、本紙の取材に口を開いた同容疑者の親戚男性も「障害者を物同然に迫害する思想はヒトラーとしか思えない」と“断罪”した。

 男性によると、植松容疑者は私立高を暴力ざたで中退した後、別の高校に入り直して福祉を専門的に学んだという。

「親元にいたころはもちろん、親とケンカしたりもあったけど、素直で優しい普通の子だったよ。親族の葬式でも人の死を悲しめないというような異常性は感じなかったし、家庭内暴力も聞いたことがない」

 男性は、送検時の植松容疑者の薄ら笑いにがくぜんとしたという。

「天に昇っちゃってる表情っていうのか、天使みたいな笑顔に異常性を感じた。あのほほ笑みはクスリでもやってなきゃ、日常生活でも見たことはないですよ」

 親類としての複雑な胸中もこう吐露した。「痴漢とかなら『何やってんだ』って言える。社会に戻ってくるなら、面倒を見てやりたい気持ちはあるけど、尊い命、19人も殺害したら二度と世の中に出すわけはない。なぜこんなことをしたのか、訳が分からなくて本当に怒りすら湧かないのです。送検時のあの薄ら笑いは知っている聖ではない」。戦後最悪の大量殺人鬼となった植松容疑者をめぐっては専門家からは、精神鑑定が必要との声も出ている。