【リオ五輪】ブラジルついに…「ISテロ」浮上

2016年07月21日 07時00分

 米国のイスラム武装組織監視団体SITEが18日、ブラジルで過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者バグダディ容疑者に対して忠誠を誓う組織が確認されたことを明かした。組織は「アンサール・ヒラーファ・ブラジル」と名乗っており、スマートフォンの通信アプリで忠誠を表明していた。組織の実態については不明だが、南米の組織がIS支持を表明するのは初めてだという。治安は悪いが、ISのテロとは無縁と思われたブラジルがさらなる危険地帯になってしまうのか…。

 8月5日のリオデジャネイロ五輪開幕まであとわずか。警察官や税関職員などが空港で「ウエルカム・トゥ・ヘル(地獄へようこそ)」という横断幕を掲げ、給与未払いへの抗議活動を行うなどブラジルでは不穏な空気が流れている。治安に加え、ISへの忠誠が疑われる組織の発覚という新たな火種が浮上したわけだが、イスラム教徒の移民も多いフランスなどと異なり、住民の多くがキリスト教徒のブラジルでのISの活動には不明な点も多い。

 テロ問題に詳しい青森中央学院大学の大泉光一教授(国際テロ対策)が指摘する。

「もともと世界で最も殺人事件の多い国で、人が殺されるのも日常茶飯事。賄賂が横行し、治安当局が買収されるような国です。そんな国で貧困に苦しんで過激になっている若者が、お金をチラつかされればイデオロギーなど関係なくやってしまいます」

 ISがブラジルでテロ活動を起こす可能性についてはこう語る。

「ISは特定の地域がどうこうというのは関係ない。宗教問題を取り上げて活動しているわけですから、多くがカトリック教徒のブラジルが標的になってもおかしくない。オリンピックは世界中の注目を集めるので、ISがこの機会を逃すとは思えないし、数年前から準備していたと考えるのが自然」

 中南米には、麻薬の密売や殺人を行う多くの組織犯罪集団、いわゆる麻薬カルテルやマフィアが存在している。大泉氏はISがこうした犯罪集団と連携することを危惧する。

「闇の外貨を稼ぐためにそういった連中が暗躍していて、ブラジルでも麻薬は問題になっている。殺人の多い国ですから、銃器の現地調達も簡単にできる。武器の調達、運搬などでリンケージする可能性は高い」

 また、大泉氏はブラジルの政情不安についても懸念を示した。ブラジルでは、政府会計の粉飾に関わったとしてルセフ大統領に対する弾劾裁判が可決され、180日間の職務停止となっている。

「オリンピックもそうですが、政治不安になるのが一番怖い。何も機能しなくなるわけですから。ロンドンオリンピックのとき、イギリスはIRA(アイルランド共和軍)との問題を抱えており、テロに関して精通していました。それに対して、ブラジルはソフト、ハード両面において問題だらけ。日本もここに関心を持つべき」とテロ対策を疑問視した。

 リオ五輪の次には東京五輪が控える。

 大泉氏は「刻一刻と情勢が変わっている。これからの4年間でさらに変わる。テロリストのネットワークがどうなっているのか、国家間の情報収集にデコボコがありすぎる。どこにでも起こりうる。明日はわが身と思っていないといけない」と警鐘を鳴らした。

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