【大阪診療報酬サギ】“主犯”元巡査部長の極悪非道ぶり

2016年06月30日 17時00分

 大阪市浪速区の歯科医院(昨年9月に閉鎖)を舞台にした診療報酬の不正受給事件で、逮捕された元警察官の“すご腕”ぶりが浮かび上がった。大阪府警元巡査部長の今野作治容疑者(56)や、同院を運営する徳島市の医療法人理事長で歯科医師の賀川幸一郎容疑者(45)ら、逮捕者は29日で11人を数える。元マル暴担当の“指示役”今野容疑者は、映画「日本で一番悪い奴ら」を地でいく立ち回りで事件に関与していた。

 容疑者たちは昨年7~8月、共謀して同歯科医院で4人の患者の歯を治療したように装って診療報酬を請求し、計約14万円を不正に受け取った疑いが持たれている。これまでに今野容疑者が用意した“ニセ患者”約50人分の保険証を悪用し、計360万円を架空請求したとされる。賀川容疑者は、ニセ患者の保険証を1人約1万円で今野容疑者から買っていた。

 事情に詳しい元大阪府警刑事で防犯コンサルタントの中島正純氏が指摘する。

「医院は2006年に開院したが数年前から経営難で、賀川容疑者は暴力団と共謀して約5年前から診療報酬の水増し請求に手を染めていた。このころは賀川容疑者にも多少の“実入り”があったのでしょう。だが昨年、今野容疑者が横ヤリを入れて、事情が変わってきたようだ」

 どういうことか。中島氏が続ける。

「賀川容疑者の水増し請求をかぎ付けた今野容疑者が、賀川をユスる形で、水増し請求なんかよりニセ患者を連れてきて架空請求をした方が儲かると持ちかけたのです。今野容疑者は50人以上の“ニセ患者”を“受診”させた。だが、不正受給した診療報酬を今野容疑者がほとんど横取りし実質的に歯科医院を乗っ取ったため、共謀関係が決裂したのでしょう」

 架空請求事件が発覚したのはナント、当人らからの通報だった。

「賀川容疑者が暴力団に上納しようと持っていた300万円を今野容疑者が奪い取ろうとして路上でモメて通報したため、かなり多くの捜査員が現場に急行したのです」(同)

 今野容疑者は府警時代に暴力団捜査を担当していたが、02年に不適切な飲食接待を理由に懲戒処分を受け退職。今野容疑者サイドは「医院の立て直しを依頼されて300万円を貸し付け、その返済を受けただけ。診療報酬詐欺のことは知らない」などとしている。